STORY アフラック vol.4

挫折をバネに奮起、リーダーとして力強く成長

アフラック生命保険 執行役員
木曽川 栄子さん

アフラック生命保険の木曽川栄子執行役員(56)は豊富な現場経験と、「いかにお客様の満足度を高めて『アフラックファン』を増やしていくか」との熱意を原動力にキャリアを積み重ねてきた。しかし、その道のりは順風満帆だったわけではない。若手時代には昇格遅れなどほろ苦い挫折を経験してきた。その時に痛感した「リーダーシップの重要性」を常に肝に銘じて自らの歩みを進め、いまは後進の育成にも積極的に取り組んでいる。

「昇格遅れ」の悔しさ、自身を見直す転機に

「どうして私だけ昇格できないんですか」。顧客満足度の向上に取り組むCS推進部にいた入社10年目ごろ、木曽川さんは直属の上司だった当時の部長に詰め寄った。入社年次的に課長代理級に昇格するタイミングだったが、周囲の同期社員がほぼ全員昇格する中で木曽川さんはポツンと取り残されてしまったからだ。

ちょうど同社の人事制度が大きく変わり、昇格者の数を絞り込み始めた時期。部長は「会社の方針が変わったのだから、推薦するにはよほどのことじゃないと・・・」と口を濁すだけだった。あまりのショックと悔しさに、これまでなかった思いが去来した。「どうせ会社で働くなら、同期で1人だけ置いていかれることなく昇格したい」。木曽川さんがキャリア形成を強く意識するようになった瞬間だった。

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先輩社員の振る舞いを観察して、リーダーシップの重要性に気づいた

なぜ自分は昇格に値しなかったのか、と自問を続けた木曽川さん。まずは近くの席にいた課長代理の男性社員の動きをじっくり観察してみた。はっと気づいたのは自分自身にリーダーシップのマインドが欠けていたことだ。それまでは「リーダーに任せてついていけばいい」という考えだった。いつまでもそのようなスタンスではリーダー役を任せてもらえない。

「どのようなチームメンバー構成であっても、自分にできることがあれば(チームの中で)積極的に仕事を取りに行かなければならない」。自身の姿勢を改め、自発的に行動するように心がけた。その翌年、同期とは「1年遅れ」ながら、無事に昇格を果たす。この時の「気づき」は、アフラック人生における木曽川さんの力強いリーダーシップを形づくる骨格となった。

真面目な大学生、週休2日に引かれ入社

大学生時代の木曽川さんはいつも真面目に授業に出席し、コツコツと几帳面にノートを取る優等生だった。奨学生に選ばれ4年間の授業料は免除。試験の時期になると、友人に貸した木曽川さんのノートのコピーが多くの学生の間に出回ったという。今でも同窓生に「木曽川さんのおかげで卒業できた」と感謝される。

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大学時代は成績優秀者を対象とする奨学金制度で授業料が免除される優等生だった

漠然と「一生働ける安定した仕事」として国家公務員や外交官を志望していたが、アフラックに入社していたゼミの先輩女性から「(当時は珍しい)週休2日ですごく働きやすい会社」との話を聞き、アフラックの採用試験を受けた。四大卒の女性に門戸を開いていた民間企業がごく一部に限られていた時代だ。

35歳で一念発起、MBA取得に挑戦

入社時の配属先は保険金の給付事務を担う保険金部。学生時代に保険業界を強く志望したわけではなかったが、保険金給付の業務は「保険の本質的な価値を、お客様からの感謝の声を通じて体験できる最前線だった」。8年間の保険金部を経て、昇格遅れの悔しさを味わったCS推進部に移ったが、1年遅れで課長代理に昇格した後は、「お客様満足度向上の旗を振っても、なかなか社内の人たちがついてきてくれない」という壁にぶつかった。

何とか自分の殻を破ろうと、木曽川さんは一念発起して企業派遣の国内留学制度に応募する。経営学修士号(MBA)を取得するため一橋大学大学院商学研究科に入学した。入社13年目、35歳での転機だった。

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大学院時代の同窓生や社外のビジネスパーソンとのネットワークを大切にしている

再び始まった学生生活が、木曽川さんのキャリアにとってかけがえのない1ページとなった。担当教授の伊丹敬之氏(現・国際大学学長)に木曽川さんがパワーポイント資料にまとめた論文構想を披露すると、「絵が描かれているがまったく中身がない。ロジックを整理するにはシンプルな箇条書きでいい」と一喝されたという。

「成果物や説明資料をどうまとめたらいいのか、どのような根拠で他人を説得するかなど、自分の手法を見直すきっかけになった」。社外ネットワークを重視する木曽川さんにとって、大学院の同窓生も貴重な人脈だ。

グループ会社のトップも経験

MBA取得から職場に復帰すると、課長から部長、執行役員へと順調にステップアップを続けた。

業務改革を手がけるBPR推進部の部長時代には、全国どこでもペーパーレスで保険金請求の処理手続きが可能になる新しいワークフローをプロジェクト責任者として導入した。従来の紙ベースから、(帳票をスキャンした)画像データを基軸とするシステムに切り替えるものだった。2011年2月にシステムが稼動した直後の3月に発生した東日本大震災では、計画停電の影響により東京オフィスで滞る手続きを大阪オフィスで代替し、素早く保険金の支払い手続きを進めるなど、木曽川さんのチームが導入したシステムはさっそく効果を発揮した。

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2年間の「社長業」で経営者としての感覚を磨いた

2016年から2年間は、集金代行や業務請負などを手がけるグループ会社のアフラック収納サービス(アフラックAPS)の社長を務め、企業トップとしての貴重な経験を積んだ。アフラック社員が担っていた保険に関連する様々な事務処理を定型的業務に落とし込んでマニュアル化。アフラックAPSの社員や契約社員が最短1週間程度のトレーニングで業務を担当できるようにすることで、契約サービス部門を中心にアフラックAPSの受託業務を拡大した。社長就任時は770人程度(契約社員を含む)だったアフラックAPSは1000人超の規模に急成長した。

後輩女性たちにも「意思決定できる醍醐味を」

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課長としてCS推進に取り組んでいた2002年ごろ

様々なプロジェクトチームをけん引してきた木曽川さんにとって、チームビルディングの極意は「メンバーそれぞれが個性を大事にし、その強みを生かしていきいきと働き、弱みは他の人がカバーする」という考えだ。休日の過ごし方、好きな食べ物、家族構成などメンバーのプライベート面も把握するように心がけている。「ドライな人間関係だと仕事はうまくいかない。チームが一体感を持つことで相乗効果が生まれる」

アフラック生命保険は社員約5000人のうちほぼ半数を女性が占め、木曽川さんら6人の女性役員が活躍している。木曽川さんは女性社員たちに「ぜひ自分で意思決定できる醍醐味を味わってほしい」とエールを送る。

自身はCS(顧客満足度)向上関連や事務統括、業務改革などの分野を若手社員、管理職、役員といった様々な立場で繰り返し担当してきた。豊富な経験を生かしたスピーディーな判断は、社内でも一目置かれている。

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チームづくりのノウハウを後進に引き継ぐことで「会社に恩返ししたい」

木曽川さんが常に考えているのは「保険に何ができるか」。例えば「未病のお客様に対して保険会社として何ができるのか」。さらにデジタル技術の活用、顧客ニーズ変化への対応など、保険を取り巻くイノベーションのシーズ(種)は尽きない。最高水準のカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を追い求めてきた木曽川さんの挑戦はこれからも続く。

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