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日銀は「上がらない物価」への対応に苦慮している(記者会見で説明する黒田東彦総裁)

日銀は「上がらない物価」への対応に苦慮している(記者会見で説明する黒田東彦総裁)

物価の上昇に弾みがつかないというわ。消費者としては物価が上がらないのはいいことだけど、賃金があまり上がらないのは問題ね。企業が、商品やサービスの値段を上げられない事情があるのかな。

景気や雇用の回復の一方、物価はあまり上がらない現象について、斉藤嘉子さん(55)と堀江貴子さん(43)が清水功哉編集委員に聞いた。

――商品やサービスの価格(消費者物価)の上昇圧力が弱いといわれます。

消費者物価上昇率(価格変動が激しい生鮮食品を除く、前年同月比)は、マイナス圏からは脱しましたが1%に満たない状況です。日銀目標の2%との距離は大きいままです。物価があまり上昇しない理由として、主要国に共通するものと日本特有のものがあります。前者としてはまず経済のグローバル化が挙げられます。新興国の安い労働力で生産された多くの商品が先進国に入るようになりました。

IT(情報技術)などの発展も要因です。インターネット通販の普及で、様々なメーカーの価格を比べて安いものを買えるようになりました。実店舗が不要なら販売コストも低くて済み、安い値段で売りやすいといえます。人工知能(AI)といった先端技術を活用すれば人を雇わずに事業が可能で、賃上げ圧力がかかりにくいといえます。

――日本特有の事情とは何でしょうか。

日本では1998年度以降、物価が下がるデフレが長く続きました。価格下落を当たり前のことと考えるデフレ心理が世の中に根付いてしまいました。これでは企業は値上げしにくいでしょう。働く側も、賃上げが小幅でも雇用が安定していればいいと思う人が正規社員を中心に多くなりました。人件費がそれほど増えない企業が、販売価格を上げなくて済むようになった面もあるわけです。

また、従来労働市場にあまり参加しなかった女性や高齢者、外国人が加わるようになってきました。全員参加型の社会実現のためには望ましいものの、労働市場の需給はひっ迫しにくくなり賃上げ圧力も強まりにくいといえます。

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