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24時間営業の「富士そば」は深夜も客足が途絶えることはない

24時間営業の「富士そば」は深夜も客足が途絶えることはない

立ちそば店「名代 富士そば」を創業した丹道夫(たん・みちお)氏の「暮らしを変えた立役者」。第15回では24時間営業に踏み切った経緯を明かします。

◇  ◇  ◇

経営難に体調不良が重なった人生最大のピンチ。そんな逆境に置かれたからこそ、見えてきたものがありました。

退院し、仕事に復帰したばかりのころです。東京・渋谷の仕事場から横浜の自宅に戻る車の中、高速道路にあがったところで目に飛び込んできたのは西の空を真っ赤に染める夕陽(ゆうひ)でした。

その美しさにしばらく見とれていると、不意に「ああ、あの夕陽のように、人生最後のときまで完全燃焼したい」との思いがこみ上げてきました。「そうだ、これからの人生を賭けて、立ち食いそば一本でやっていくぞ」と決意を新たにしたのでした。

「富士」に込めた、内なる思い

1972年、立ち食いそばの店名を「そば清」から現在の「名代 富士そば」に変更しました。富士という名称には思い入れがあります。初めて愛媛から上京してきた際の車窓に映った富士山が忘れられません。明け方、朝日でほんのり色づいた富士山は神々しいまでに美しく、心の中で「いつかは富士山のような立派な人間になりたい」と誓ったのです。

日本一の名山の名に恥じぬよう、これまで以上に立ち食いそばの商売にまい進していこう。そこで立てた目標は街を歩いている人の「35%」、つまり3人に1人に、立ち食いそば店を知ってもらうことでした。当時、そばを食べるといえば、大方の人がイメージするのは、ざるそばが一人前600円くらいの、座って食べるそば店でした。

そこで取り組んだのが24時間営業です。いつでも店に明かりがついていて、食べたくなったら、気軽に入れるそば店。しかし、周囲は大反対でした。真夜中にお客が来るわけがないというのです。

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