2011/8/18

耳寄りな話題

現在、大正区で沖縄の雰囲気が最も色濃いのが平尾本通商店街、通称「サンクス平尾」。リトル沖縄とでも言うべき場所だ。南国風の音楽が流れ、店先にはシーサー、精肉店では豚足が並び、沖縄民謡をライブで聴かせる店や、揚げたてのサーターアンダギーを売る出店も。周辺には沖縄出身者が多く住み、琉球舞踊のけいこ場や三味線教室、琉球空手の道場なども多く見られる。

サンクス平尾から歩いて数分の場所にあるのが私設図書館「関西沖縄文庫」。沖縄関連の書籍8000冊を所蔵する沖縄文化の発信基地だ。運営するのは沖縄生まれの金城馨さん(58)。生まれてすぐ両親に連れられ、関西へやって来た。製本業などの傍ら、85年に文庫を開設した。

金城さんは文庫運営の傍ら、沖縄物産店を経営するほか、大正区の沖縄関連の史跡を歩く催しやシンポジウム、沖縄から演者を呼んでの人形劇を開くなど忙しい日々を送る。多くの沖縄人から頼りにされる存在だ。

「大正区の沖縄人たちは故郷から遠く離れた場所で暮らしているからこそ沖縄らしさを求め、沖縄人であることを強く意識するようになるのでは」。金城さん自身、文庫を開設したのは、沖縄人としてのアイデンティティーを確立するため、たくさんの沖縄関連の本を読んだのがきっかけだったという。大阪の地に根づいた沖縄の文化と人々。ふるさとは遠きにありて思ふもの――。室生犀星の詩句が思い浮かんだ。

(大阪・文化担当 田村広済)

[日本経済新聞大阪夕刊オムニス関西2011年8月17日付]

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