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那須街道の両側に広がるアカマツ中心の天然林=那須町観光協会提供

那須街道の両側に広がるアカマツ中心の天然林=那須町観光協会提供

立ちそば店「名代 富士そば」を創業した丹道夫(たん・みちお)氏の「暮らしを変えた立役者」。第11回では栃木県・那須での別荘事業に成功したころを語ります。

◇  ◇  ◇

不動産業への挑戦。1960年代は土地神話が健在でした。ただ、狙ったのは急速に開発が進んでいた郊外の住宅ではなく、栃木県・那須の別荘。新幹線も通っていない(東北新幹線が開通したのは82年)なかで、御用邸、温泉のある観光地としては知られていましたが、一般向けの別荘地としてはこれからでした。

私、かつての同僚の大林さん、大林さんの知人の片野さん、そのまた知人の西村さんの計4人で、250万円ずつ出し合い会社を興すことになったのです。社長は西村さん、大林さんが専務、片野さんが経理担当常務、私は営業担当常務。利益は4人で平等に分けることを決めました。

別荘地販売で大苦戦

那須で土地を仕入れ、社員も雇い、営業を開始したのですが、勢いよく出て行くのはセールスマンと金庫のカネばかりで、売れ行きはさっぱり。そもそも不動産業というのは100人に声を掛けても1人も買ってくれないこともあるという大変な仕事であることを私自身知らなかったのです。

那須の紅葉は色づいてきても全く売れない日々。社員と一緒に、飛び込みセールスにも励み、顔見知りをつくっても、最後に判子を押してもらうまでには至りません。それどころか、訪問先で水をかけられることも。疲れ果て、倒産という2文字が頭をよぎった頃、仕事抜きで中学時代の恩師、伊藤始先生のところへ。最後にお会いしてから、病院をやめて、郷里に戻り、上京したことを報告。今の仕事の話をすると興味を示してくれたのです。別荘の土地は200坪(660平方メートル)で60万円から。「それくらいの額なら。一度見せてくれないか」

上野から特急列車で3時間。駅前から那須の名所、赤松林の通りを抜けて、現在の東北自動車道の那須インターチェンジに近い開発地を案内したところ「いいところだね」。伊藤先生は購入を決めてくれたのです。それまでは営業の対象は商店など個人事業主ばかり。別荘地としての那須の魅力を再確認しつつ、勤め人でも買ってもらえるんだとわかり、がぜんやる気に。

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