いまやドラッグストアは売り上げの2割を外国人客に頼っています。アジアからの訪日客には繁華街をぶらりと歩くのも人気で、大阪の「ミナミ」など、狭い地域に様々な店が集まる雑多な雰囲気が好まれるようです。
――地方も訪れているのでしょうか?
訪日回数が増えると地方にも足が向くようです。17年のリピーターは1761万人に達し、台湾と香港からは10回以上も来ている人も少なくありません。香川県は過去5年で外国人の宿泊者が10倍に、佐賀県は9倍、青森県も6倍と、それぞれ増えています。ただ、人数でみれば三大都市圏と北海道、福岡県、沖縄県が圧倒的です。
アジアからの来日客はガイドブックや旅行会社が提供する情報よりも、SNSでの口コミを信用する傾向があります。それぞれの国でフォロワー数が多く影響力があるインフルエンサーに、地方のおいしいものや魅力的な景色を発信してもらうのが効果的です。人口減少が続く地方にとって、観光は地域経済を支える重要な産業となります。
――どうすれば、もっと日本に来たいと思ってもらえますか?
外国人が快適に過ごせるようにすることです。観光庁によると、旅行中に最も困ったことでは「コミュニケーション」が最多でした。外国語が流ちょうである必要はありません。飲食店では写真をメニューに添えたり、指さしで意思疎通できる簡単なカードを用意したりするといった、ちょっとした工夫で、だいぶ印象は変わります。
交通機関も配慮が必要です。新宿や渋谷など巨大ターミナル駅は東京に住む人も迷うほど。初めての利用者でも分かるような表示を増やし、スムーズに移動できるように改善すべきです。
通勤電車などの混雑状況も考えると、個人旅行者向けの都市観光に特化したバスをもっと充実させることが望まれます。例えば米ボストンには、主な観光地を周回する乗り降り自由の観光バスがあり、日本でも参考になります。