変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

フリーで働く場合、引き受ける基準は自分で設定できる。写真はイメージ=PIXTA

フリーで働く場合、引き受ける基準は自分で設定できる。写真はイメージ=PIXTA

尊敬する渋沢栄一翁が『論語』を経営の指針としたのに倣い、私は四書五経の一冊『大学』を道しるべとしています。『大学』に「一家譲(じょう)なれば、一国譲に興り」という一節があります。つまり、小さな単位(一家)に譲の精神が浸透しているなら、大きな単位(一国)全体にもあまねく行き渡っている。個人一人ひとりのあり方が、全体に及ぶという意味のようです。国もそうですが、会社もそうですね。

私は常に「譲」を心がけています。エレベーターでも「お先にどうぞ」、狭い歩道ですれ違うときも(特に雨が降っているとき)、自分が待って、譲ります。

さて、読者の皆さん、最近、譲ったことがありますか? 私の会社はビジネス街のど真ん中にあります。朝のコンビニは企業人たちの「戦場」と化しています。みんなが気ぜわしく、余裕がない雰囲気。コンビニの狭い入口ですれ違おうものなら、弾き飛ばされかねません。ドリンクを収めた冷蔵庫の前でぐずぐずしているとグイと押しやられます。まるでスポーツの格闘技のイメージがあります。

友人のコンビニ経営者が言っていました。「ダークスーツのお客さんはこわい。たとえば、おサイフケータイ支払いの場合、交通系かその他かでレジ処理が違うので、尋ねると、返事がない。重ねて聞くと『パスモだよっ!』とキレて返事する。こわいです」

みんな、会社でストレスがあるんでしょうか。「譲」どころか、戦士の風情です。

あえて「戦わない」という選択

そういえば、以前、「企業戦士」という言い回しがありました。しかし、戦うというのは今の時代の雰囲気ではない気がします。ふと思って、SNS(交流サイト)に「戦士ではないとすると、何だろう?」と投稿したら、某大企業社員が「戦士はいません。忖度ばかりです」とコメントしてきました。戦士もどうかと思いますが、忖度は……。

私はブランディングとマーケティングを専門にしています。ブランドは「戦わない」ためにつくるし、マーケティングは顧客と絆を築き、深めるためであり、競合他社に「勝つ」ためではありません。そもそも「戦う」という思想がない。

基本ポリシーとして、「誰かを出し抜いて」はやらない。戦わない。戦略は戦を略す。競合がいるようなら、やめる。やらない。

だから「コンペ」にはこれまで参加したことがないし、コンサルティングの相談で、「他社さんにも打診しているんです」と言われた段階で身を引きます。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック