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外界を遮断して仕事に打ち込むのが常に有益とは限らない。 写真はイメージ=PIXTA

外界を遮断して仕事に打ち込むのが常に有益とは限らない。 写真はイメージ=PIXTA

この連載と並行して新刊書を書き進めていました。ようやく書き終えたところですが、書いていた期間中は頭の中は原稿のことで一杯になり、土日も休まず原稿に向かいました。出掛けることも減り、酒の誘いも断りました。

「そんなことをしている暇はない。集中して原稿を書かなければ」。そんなモードで過ごすうち、得体の知れない不安がムクムクと頭をもたげてきました。書き終えて我に返った今、あれほど集中してはだめだと反省しています。今回は同じように「仕事しすぎ」の人に向け、「脱・集中のススメ」について書きましょう。独立・起業を考えている方には必須です。

「集中」は常に正しいわけではない

私たちは「集中」という言葉を大抵、よいニュアンスで用います。スポーツ、勉強、仕事、どの分野でも集中するのは良いこととされていて、この言葉を悪い意味で使うことはまずありません。

しかし、集中にも明らかに「害」があります。それは「ほかのことに目と耳を塞いでしまう」という点です。

たとえば、子供がテレビを見ながらダラダラ宿題をしているとき、親は「もっと勉強に集中しなさい!」と注意します。ここでいう「集中」とは、「ほかのものに目と耳を塞ぐ」という行為を指します。

テレビを消し、スマホを離し、目の前の計算ドリルに集中させる――。これによって子供は「ちぇっ」と文句を言いながら、しかたなく計算を始めます。

このように、その対象が計算ドリルのように「やるべきことが明確で、答えに真っすぐ向かう」ような場合であれば「集中」は効果的です。

クリエイティブな仕事は「集中しすぎ」に注意

仕事であれば、19世紀の技術者・経営学者、フレデリック・テイラーが研究対象としたような、工場内の「作業」であれば、労働者を集中させることで生産性を上げることができます。

しかし、これが「ゴールが明確でない」あるいは「課題すら明確でない」というところで企画やアイデアを出すような仕事になると、どうでしょう? この場合、集中は害になりかねません。今回、私は、遅れた原稿でそれを痛感しました。「これはまずい」と焦れば焦るほど、おもしろいアイデアが出なくなってしまうのです。

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