働き方の不満を解消、でも社員がやる気にならない理由
第35回 モチベーションを高める「欲求階層説」
働き方改革ではモチベーションがアップしない?
パソコンの購入を検討している方が、とても魅力的なデザインをした超軽量のパソコンを見つけました。ところが、ネットで評判を調べてみたところ、「よく故障する」と書かれています。
そこで、他の商品を探していると、とりたてて特長はないものの、「めったなことでは壊れない」と書かれたものを見つけました。価格は同じです。どちらかを選ばないといけないとしたら、皆さんはどちらを選びますか。
そこで、他の商品を探していると、とりたてて特長はないものの、「めったなことでは壊れない」と書かれたものを見つけました。価格は同じです。どちらかを選ばないといけないとしたら、皆さんはどちらを選びますか。
多分、私ならどちらも選ばないと思います(ごめんなさい)。解説すると、前者では故障が衛生要因(少しでも欠けると不平・不満につながる要因)となっています。それが満たされないと購入する気がうせる、不満足な要因です。
では、衛生要因がなければ買うかといえば、そうとも限りません。購入する気にさせる動機づけ要因がないからです。軽量でスタイリッシュという、満足する要因がないと買う気にならないのです。
同じ話が働き方改革に対しても言えます。働き方改革をすると「従業員のモチベーションが高まる」「やる気のある人材が集まる」と単純に考えていると、足をすくわれる恐れがあります。
提唱者のF.ハーズバーグによると、管理、労働条件、給与などは衛生要因、つまり満たされないと働く意欲が下がる要因とされています。改善は必要ですが、それだけでは十分ではありません。
それに対して、達成、承認、責任などが動機づけ要因として挙げられています。こちらの取り組みがあってはじめて、働くモチベーションが高まっていきます。両方がそろわないと、期待する効果が得られないのです。