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書店で目立つ棚を確保するには、書店側への売り込みが肝心という

書店で目立つ棚を確保するには、書店側への売り込みが肝心という

「出版不況」といわれるこのご時世に、2017年11月の発売から順調に売り上げを伸ばし、21万部を突破した(18年6月時点)という本が米スポーツ用品大手、ナイキの創業物語『SHOE DOG』(東洋経済新報社)だ。書籍のプロモーション担当者に話を聞く機会があった。

20万部を超える本は年にそうそう現れるわけではない。著者である米国人実業家のフィル・ナイト氏(米ナイキ創業者)はそれなりに有名ではあるものの、スティーブ・ジョブズ氏やビル・ゲイツ氏ほどにおなじみの人ではない。しかも翻訳物は売れにくい。

よくある「ビジネスで成功する○カ条」みたいな、さっさか読み進めるタイプとは違う。500を超えるページに細かい字がぎっしり詰まっている。内容も濃い。

読書スピードの遅い私は夜の9時から読み始め、気がついたら朝日がのぼっていた。すでに犬の散歩の時間を過ぎたと知って、一瞬、フラッとした。

分厚い本の値段は1800円プラス税と、安くはない。ここまで私が挙げたデータは全て「売れない条件」だが、では、なぜ売れたのか?

ビジネス書にとどまらない赤裸々ストーリー

出版元である東洋経済新報社の書籍プロモーション部、笠間勝久部長は「ほっといても売れる、原作のよさですねえ」と謙虚におっしゃる。だが、どんなに優れた内容でも、緻密な販売戦略がないと、20万部超えは難しい。今回は「笠間部長の販促技」が、売り上げノルマ達成に向かって日々、奮闘努力するビジネスパーソンにほんのちょっとしたヒントにでもなればと書いてみた。

梶原「笠間さんが今回、プロモーション責任者として最初にチャレンジしたのは?」

笠間「徹底的に『SHOE DOG』を読み込みました。読めば読むほど、『私はこうして成功した、あなたもそれを実行すれば成功する!』なんていう『典型的なビジネス書』では全くないと感じました。むしろ失敗談が満載で、赤裸々な人間味もむき出しの、まるで小説みたいなんです。そういう意味では書店のビジネス書コーナーだけではなく、一般書籍の棚でも手に取ってほしいものだと考えました」

梶原「書店のどの棚に置いてもらえるかは、売れ方に影響を与えるんですね」

期待通りの棚には置いてもらいにくい

私は「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクトで知られる国立情報学研究所教授の新井紀子教授(『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の著者)の言葉を思い出した。今も売れ続ける『コンピュータが仕事を奪う』を出したとき、東京都内の巨大書店を訪れたのだそうだ。自分の本が書店のどこにあるのか、またはないのかが気になる気持ちはよく分かる。

「コンピューターと仕事というキーワードを打ち出した本だから、きっとビジネス書コーナーだろう」。新井さんはそう思ってビジネス書の棚へ行ったが、一向に見つからなかった。「売れ行き好調」と聞いていたから、疑問に思い、さらに探したら、SFコーナーにあったという。

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