眠れる得意技が転職左右 自分ブランド高める掛け算経営コンサルタント 阪本啓一

自分流「とんがり」の見つけ方

孫子の有名な言葉に、「敵を知り、己を知れば、絶対に敗れる心配はない」という意味のものがあります。ブランドづくりを考える際、この言葉で大事なのは、「己」です。みんな自分の強みについてはなかなか知りません。知らないというか、気づけていないのです。

己を知るヒントとして、趣味や好きなことを掘り下げてみる方法があります。あなたは何をしているときが時間を忘れて取り組めますか?

大抵の人は謙遜して「いやー、私の趣味なんか」と言いますが、それがそうでもないんです。知らぬは本人ばかりなりです。たとえば、ある人がロック音楽のレコードを集めることが好きだとします(架空の話です)。高校生時代からイギリスやアメリカのロックバンドのアルバムを集め始め、途中でCDに変わったものの、そのコレクションの数は数え切れないほどだとしましょう。1960年代から現代に至るまでのロックのアルバムがそろっています。家族に文句を言われながらも、「これだけは譲れない」と守ってきました。仕事は入社以来、メーカーの営業です。

さて、この人の場合、セカンドキャリアを考える際、「営業」×「ロックのアルバム収集」の掛け算ができます。さらに、ライナーノーツ(アルバムの解説)をほぼすべて覚えているとします。レコード版とCD版でライナーノーツを書く人が違っていて、それぞれの力点の置き方の違いもすべて頭に入っているとしましょう。「営業」×「ロックのアルバム収集」×「ライナーノーツ」という3つの要素を掛け算できます。

ライナーノーツには時代背景が込められています。そうすると、60年代から現代に至るまでの、ライナーノーツから見た社会風俗の歴史についても語ることができます。これはオリジナル度の高い能力です。

「営業」の仕事の体験を振り返ってみましょう。担当している流通業の時代変遷については肌感覚で分かります。大手スーパーの全盛期を経て、コンビニへと流れが移ろう様を間近で見てきました。「流通」×「ロックのライナーノーツ」から見た現代史については、きっと誰にも負けないとんがりが得られそうです。これが掛け算のブランディングです。

どうでしょう? きっとあなたにも何かあります。気づいていないだけなのです。

さあ、早速、あなたのとんがり要素を書き出してみましょう。最後にそれらを掛け算してみると、どこにもないとんがりブランドの出来上がりです。

阪本啓一
経営コンサルタント、ブランドクリエイター。1958年生まれ。大阪大学人間科学部卒。旭化成で建材営業に従事したのち、2000年に独立。経営コンサルティング会社「JOYWOW」を創業。著書に『「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる』など。

「セカンドキャリアのすすめ」は水曜更新です。次回は2018年7月4日の予定です。

「こんなもの誰が買うの?」がブランドになる 共感から始まる顧客価値創造

著者 : 阪本 啓一
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,728円 (税込み)

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