AbemaTVはどこがすごいのか 予測不能感を最優先

なぜAbemaTVはテレビ局の常識を越えられたのか

梶原「AbemaTVが予測不能感でやれている理由は?」

濱崎「今、うちはまだもうけようとするタイミングじゃない、認知を広めたり、期待値を作ったりする時期だと、上も言ってくれています。このスタイルを地上波でやったら、即、飛ばされますね」

古賀「アメブロ(アメーバブログ)の時も、収益化まで5年かかりました。Abemaは2年たった今も、赤字を抱えていますが、我々は主要事業で収益を上げている分を赤字で頑張る部門に投資して、そこが大きくなったらマネタイズという鉄則でいろんな事業を進めてきました。我々はお金の前に『今は攻める時だ』という考えです。攻め部門の代表として『リアルカイジGP』を立ち上げたんです」

かつて大がかりな制作費を惜しみなく投入したであろう番組をいくつか体験した私から見ても、今回の「リアルカイジGP」は「随分とお金を使っている番組だ」という印象が強い。収録現場には100人単位のスタッフと、カメラが30台近く配置され、参加・関係者の送迎バスのほか、車両要員、警備・救護スタッフと、ものすごい人的パワーも投入されている。

梶原「ズバリ、今回の製作費は?」

濱崎「全11話で、1本あたりにすると、地上波バラエティーの5倍です」

梶原「ええっ?」

6月24日のファイナルラウンドは午後6時から午前2時までの8時間。東京・砧にある、業界ではおなじみの「TMC」スタジオで、普通は各局1番組につき1つしか使わないという大きなスタジオを4つも借り切って生放送というのも異例中の異例だ。

結末が感動を呼ばない可能性も

これまでの戦いを通じて見知った20人のうち、たった1人が1億円の賞金を獲得する。逆に言えば、ここまで勝ち抜いたのに、19人は賞金ゼロだ。加藤さんが「東京ウォーカー全国版」の取材に応じてこんなふうに言っていた。

「1億円を1人でもらえるということなので、どっかに醜さも出るんだろうという怖さですね」「(優勝者が1人で)優勝賞金をもらうとき、我々から見てそれは感動なのか、歓喜なのか、憎悪なのか」「スポーツなどで優勝が決まるときって、感動とか歓喜じゃないですか。でも『リアルカイジGP』は、真逆に振れる可能性があるって怖さもありますよね」(引用は要旨)

濱崎「福本伸行先生の『カイジ』には、極度に緊張すると、視界がグニャーンとゆがむシーンが出てきます。1億円を目の前にした挑戦者はどういうことになるんでしょうか。これも予測不能感たっぷりですね」

1億円か? ゼロか? 勝負の決まったその瞬間、実際に人は、どんな反応を示すのか?

私は、その様子をしっかり描写できるのだろうか? なんだか緊張してきた……。

※「梶原しげるの「しゃべりテク」」は毎月第2、4木曜更新です。次回は2018年7月12日の予定です。

梶原しげる
1950年生まれ。早稲田大学卒業後、文化放送のアナウンサーに。92年からフリー。司会業を中心に活躍中。東京成徳大学客員教授(心理学修士)。「日本語検定」審議委員。著書に「すべらない敬語」「まずは『ドジな話』をしなさい」など。

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