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梶原しげるの「しゃべりテク」

無法タックル生む強すぎる権威 立場格差が忠言阻む

2018/6/14

飛行機のコックピットでの言葉遣いは運航の安全を左右する。写真はイメージ=PIXTA

 日本語の総合的な能力を測る「日本語検定(語検)」の審議委員の末席を汚しておよそ10年になる。国語研究者や教育専門家の先生方とは定例会などでしばしばお目にかかるが、意外にも会えずじまいの方がいた。それは、最難関の1級取得者だ。

 語検では毎回、4万人を超える受検者が自分の力に応じて、7級から1級までを選んでチャレンジする。頂点である1級に挑戦し、資格認定されるのは毎回100人程度だ(回によって合格者数は上下する)。

 作問担当者とじかに顔を合わせる機会のある私はもちろん受検できない。毎回、個人的に過去問にチャレンジするが、まるで歯が立たない。

 「1級に合格できちゃう人って、どんな感じなんだろう? 一度お目にかかってみたい」

 そんなことを事務局の方につぶやいたら「『ごけん』(日本語検定が発行する冊子)の最新号でインタビューに応じてくださった方なら会ってくれるかもしれませんよ」と言われた。とんとん拍子で話が進み、某所で話を聞くことができた。

■なぜパイロットに巧みな日本語技術が必要か

 その1級合格者は、飛行時間1万8200時間という元パイロットだった。現在はパイロットを目指す若者を指導する大学の先生だという。

 待ち合わせのカフェに行くと、「あ、この人だ!」とすぐに分かった。背中をビシッと伸ばした白髪のジェントルマンの後ろ姿があったからだ。

 声を掛けたら、やはりそうだった。その畝本宣尹(うねもと・のぶまさ)さんはパイロット歴41年。とっても気さくなおじさまだった。

畝本「テクニカルな情報や管制官との公用語は英語ではありますが、クルーたちとはもっぱら日本語です。特に私の所属したANA(全日本空輸)のような日本の航空会社では、仕事相手となる整備士、管制官、運行管理者、客室乗務員のほとんどが日本語を母語とする人たち。すなわち日本語を使う機会が圧倒的に多いんです」

 響きのよいバリトンボイスに気押される感じだ。

畝本「自分の日本語が正確で簡潔かを確認するには、日本語検定が一番だと思いチャレンジしたら、初回は見事に滑りました、ハハハ」

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