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司法取引の導入は日本の司法制度の大きな転換点となる(最高裁判所の外観)

司法取引の導入は日本の司法制度の大きな転換点となる(最高裁判所の外観)

他人の犯罪を明らかにすれば、その見返りに刑罰が軽くなる「司法取引」が6月から導入されたと聞いたわ。なぜ司法取引が導入されたの。今後日本で司法取引は定着するのかな。

司法取引の具体的な仕組みや導入の理由、今後の課題について、小野田範子さん(49)と浅井みら野さん(31)が坂口祐一編集委員に聞いた。

――司法取引の仕組みについて教えてください。

米国の映画などで司法取引をしているシーンを見掛けますよね。司法取引には2つのパターンがあります。一つは、自分が犯した罪を自ら進んで認める代わりに刑を軽くしてもらうといったものです。もう一つは、他人の犯罪の解明に協力することで、自分が犯した罪の刑事処分を軽くしてもらうものです。米国では前者のパターンが大半だといわれます。

ただ今回日本で導入されるのは後者の仕組みだけです。殺人や放火などの事件も対象から外しました。日本では凶悪犯罪に手を染めた当事者が自ら罪を認めたり捜査に協力したりしたからといって、刑を軽くするのは国民感情として受け入れにくいと考えられています。6月に始まった日本版の司法取引で対象となるのは振り込め詐欺、薬物密売などの組織犯罪や汚職、粉飾決算といった経済犯罪です。

具体的には、容疑者や被告が供述や証拠を提供して共犯者らの犯罪を明かした場合、検察官が起訴を見送ったり求刑を軽くしたりします。

――なぜ司法取引が導入されたのですか。

日本では長い間、容疑者を取り調べて自白させることが捜査の中心でした。しかしそれはだんだん難しくなってきています。自白をとろうとするあまり、強引な調べをして冤罪(えんざい)を生むなどの問題も相次ぎました。

加えて贈収賄や談合などの犯罪は密室で行われることが多く、これまでの捜査では証拠を得ることが大変難しかったという事情もあります。

司法取引は組織犯罪に効果を発揮することが期待されています。例えば振り込め詐欺では、ニセの電話をかける役の容疑者を捕まえても、なかなか首謀者にはたどりつけません。そこで末端の容疑者に「誰から指示を受けたのかを明らかにすれば起訴しない」といった取引を持ちかけることで、黒幕をあぶり出せる可能性が出てきます。

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