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滝川クリステルさん 動物たちとの共生を目指す理由

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NIKKEI STYLE

フリーアナウンサーとして幅広く活躍中の滝川クリステルさんは、一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル(CVE)代表理事という顔も持ち、ライフワークとして動物の保護活動に取り組んでいる。CVEではこのほど、日経が運営するクラウドファンディングサイト「未来ショッピング」で、犬猫の保護活動に取り組む動物病院の支援などを目的とするプロジェクトも開始した。滝川さんはなぜ、そうした活動を始め、今後、どう展開していくのか、話を聞いた。

人の心の問題でもあった「殺処分」

――滝川さんは以前からさまざまな形で犬猫の殺処分や絶滅が危惧される野生動物の問題について発信していらっしゃいます。そもそもはどのような経緯で関心を持ち、自ら活動するようになったのですか。

私が殺処分の問題を知ったのは2007年です。前年度に全国で34万頭の犬や猫が殺処分されたという新聞の見出しを目にして、「これは一体どういうことなんだろう?」と強い衝撃を受けました。私にはメディアを通して訴える場があったので、その頃から、この問題に取り組み始めました。

――メインキャスターを務めていたフジテレビのニュースJAPANで2009年、番組スタッフを説得し、3夜連続で殺処分の問題を取り上げました。この問題に正面から切り込むのは、勇気のいることだったのではないですか。

殺処分される様子をテレビで流すという、タブー視されていたことに挑んだという意味では、おそらく初めての試みでした。実際、全国どこの自治体に連絡しても、殺処分の状況を開示することは嫌がられました。批判を受ける可能性もあったので、当然の反応です。

でも、1カ所だけ、大分の保健所が「悲惨な状況で働いているスタッフの現状があまりに辛すぎるので、批判を受けてでも、殺処分のことをもっと広く知ってもらいたい」と取材に協力してくださいました。その取材を通して、職員のみなさんのメンタル面での負担の大きさにも気づかされました。

――殺処分に関わる現場の人たちも、相当に苦しんでいたのですね。

殺処分の問題は、動物だけでなく、そこに関わらなければならない人たちの心の問題にもつながっています。そして、動物の命をめぐる問題について、大人が子供たちにきちんと教えてこなかったことにも気づきました。

この取り組みは、動物を助けることだけが目的ではありません。この問題に対する私たち"人間"の向き合い方、日本人が失いつつあるものや心の持ち方について、考えてほしいというメッセージも込めているつもりです。

――結果的に番組は大きな反響を呼びました。

まさしくチームの力で実現した番組でしたが、放送後、視聴者から寄せられた意見の8割が「事実を知ることができてよかった」といった好意的な内容だったことに、局のみなさんも驚かれていました。やはり、みなさん知らないだけで、事実をきちんと伝えられれば、一歩踏み出すことができる……この番組に関する一連の出来事を通して、勇気をもらうとともに、メディアの力を改めて実感することができました。

啓発活動を通じ、世の中の変化を実感

――2014年5月に設立したクリステル・ヴィ・アンサンブル(CVE)では、どのような活動に取り組んでいるのですか。

財団の活動の柱は2つあります。1つは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を目標に、アニマル・ウェルフェアにのっとった犬猫の殺処分ゼロを目指す「Project Zero」。もう1つは、絶滅の危機にひんした野生動物を救い、生態系を守ることをミッションに活動している「Project Red」です。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストには、絶滅の恐れのある生物リストが掲載されています。

――これまでの活動を振り返っていかがですか?

「Project Zero」では主に、飼い主のいない犬や猫を自宅で一時的に預かるボランティアであるフォスターを育成する講座「フォスターアカデミー」の開催と、より多くの方に保護犬や保護猫を引き取ってもらうための啓発活動「パネルフォーライフ」に取り組んでいます。フォスターアカデミーのセミナーはこれまで35回開催し、延べ1500人以上の方に参加していただきました。

殺処分ゼロは身近な問題としてとらえられるので、一度認知してもらえたら、行動につながるという手応えがあります。小池百合子知事が今年4月に、公約だった「東京都のペット殺処分ゼロ」を1年早く達成したと発表したときも、注目度は非常に高かったです。

最近では、モデルのローラさんなど若い人たちが、殺処分ゼロについて当たり前のように声を上げるようになりました。この5年で、「私も保護動物を引き取りました」という著名な方々からの力強いメッセージも増えました。そういう方たちの影響力は、とても大きい。十年前は「なんで動物なの?」と奇異な目で見られましたが、ようやく市民権を得られた感覚があります。

アリスを引き取って「1000%後悔はない」

――滝川さんが今一緒に暮らしているラブラドールレトリーバーのアリスも、初めはフォスターとして預かったそうですね。

2011年の東日本大震災の直後、被災地で飼い主とはぐれた動物を保護していた知人に電話して、「どんな子でもいいので、引き受け手のない大型犬がいたら引き取らせて」と申し出ました。

――なぜ大型犬だったのですか?

大型犬は引き取り手が少ないですし、1頭で小型犬10頭ほどの飼育スペースが必要になります。食べる量は多いし、力が強く散歩も重労働。大型犬を引き取ってもらえると、保護団体は助かるんです。

アリスは彼女のもともとの名前で、当時3歳でした。とりあえずフォスター(一時預かり)という形で一緒に過ごしましたが、「飼い主が見つかりました」という一報が入ったときは、「離れたくない」という気持ちが芽生えていたので、心臓がドキドキしたのを覚えています。結果的に飼い主さんには震災で手放さざるを得ない事情があり、正式に引き取ることになりました。

――ペットショップで買うのと違って、保護犬や保護猫を引き取るからこその喜びや苦労はありますか。

実家ではずっと小型犬のプードルを飼っていましたが、全く違いましたね。性格もでき上がった大型の成犬を女性1人で引き取るのは通常難しく、保護団体も断る場合が多いんです。でも今、アリスを引き取って1000%後悔はありません。

改めて喜びを感じるのは、「一緒に乗り越えてきた」という同志のような意識を持てたときです。単なる愛情とも、また違う。信頼がどんどん深まっていくというか。大人になっていればいるほど、その子の性格が強く出てきますし、初めのうちは何を抱えているのか、読めない部分もあって、お互いの気持ちに距離があるんです。けれど、ちょっとしたことで、「なんか、一歩近づけたかな」とか「あっ、これでお互いに認め合えるかも」というふうに、距離が縮まっていく。一遍にじゃないんですよ。徐々にです。

それに、保護犬や保護猫の多くは心が傷ついているので、そのトラウマを愛情で癒やす地道な作業が必要になります。ですから飼い主である自分自身も、成長しないといけない。アリスを迎えたことで、私もかなり我慢強くなりました(笑)。

「アニマル・ウェルフェア」にのっとった持続的な活動に向けて

――2017年度の全国の殺処分も約4万3000頭まで減っています。目標達成まであと一息なのではないですか。

数の上では特にこの5年で急激に減りました。一方で、「殺処分ゼロ」という数値目標を追いすぎると、ひずみが生じてしまうことも認識されるようになりました。保護する動物があまりに多いと、手厚く看てあげられなくなったり、多頭飼育で放置されたりするケースも出てきます。治療費や人件費がかさんで、つぶれてしまう保護団体もあります。

保護活動を持続性のある取り組みにするには、動物たちのQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上を目指す「アニマル・ウェルフェア」の考え方に基づくことが、とても重要になるわけです。この分野で日本は大きく後れをとっていますが、海外からの目が日本に集まる2020年に向けて、もっと意識を根付かせていく必要があります。

――殺処分ゼロとアニマル・ウェルフェアの両立は悩ましい問題ですが、CVEとしてはどう取り組んでいきますか。

CVEの活動を5年続ける中で、いろいろな保護団体の問題をみてきました。どの保護団体も頑張っていますが、現場は疲弊しています。

一方で、私たちの活動は皆様からの信頼あってこそ成り立つものですから、中立性や公平性がとても大切です。すべての団体を支援するのは不可能ですし、特定の団体を支援することにはリスクも伴います。そうしたジレンマをいかに乗り越えて、財団の活動を啓発や教育から、次の段階に進めていくか。皆で議論しながら、実効性と持続性のある方策を模索していきたいと考えています。

「見えない側面」に目を向けてもらいたい

――「Project Red」の活動は、どんなきっかけで始めたのですか。

2006年ごろ、生物多様性の取材でボルネオに行ったとき、私たちに見えている側面と見えていない側面の差の大きさに驚かされました。いかにボルネオ産の「パーム油」が私たちの生活に浸透しているか。同時に、それによってボルネオの自然と動物がどんどん失われているか。どうしても伝えなければと思ったのが始まりです。

――具体的にはどんな活動をしているのですか。

認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンは、現地の姉妹団体を通じてボルネオのキナバタンガン川沿いに残っている熱帯雨林を所有者から買い取って、パーム油の原料となるアブラヤシ畑の開発で分断された森をつなぐ「緑の回廊プロジェクト」に取り組んでいます。CVEではボルネオ保全トラスト・ジャパンを通じ、親を亡くしたゾウやオランウータンの子どもが生きていくためのエサ代を支援しています。

ただ、そのエサで成長しても、彼らには戻れる森がない。熱帯雨林が伐採で失われるのは一瞬ですが、再生には気の遠くなるような時間と作業が必要です。パーム油は現地の人々の生きていく糧でもあるので、土地を買い、木を植える作業を粘り強く続けていくしか選択肢がありません。

小さな喜びの積み重ねを糧に

――お仕事で多忙な滝川さんが、こうして財団を立ち上げ、活動し続けるのは、並大抵の覚悟ではできないと思います。その原動力とは、何なのでしょうか。

本当にささいなことというか、小さな喜びの積み重ねでしょうか。何にもリアクションなければ、やっていても辛いと思います。でも、身近な人が保護犬や保護猫を引き取ってくれたり、「保護犬・保護猫の飼い主さんが増えたね」とか「最近、動物保護に関する意識が変わってきたよね」という声が聞こえてきたり、保護活動についていろんな人が声を上げてくれたり……。そういうリアクションに触れた瞬間、「あぁ、やっていてよかったな」って思います。

――世間の人たちの反応が、やりがいになっている?

そういう変化に、私たちCVEの取り組みが何かしら影響を与えているとしたら、本当にうれしいですね。最近、タクシーに乗ると、運転手さんに「滝川さんの活動、知っていますよ」と言われることがあるんです。「僕も飼っているんですよ」とか「あの殺処分はひどいですよね」など、言葉をかけられることもあります。そんなさりげない出来事で、1日、ハッピーに過ごせるんです。

「啓発」のその先へ、クラウドファンディングも始動

――最後に今回のクラウドファンディングの狙いや、期待することについてお聞かせください。

動物保護の問題は、多くの人に身近に感じてもらうことが大切です。クラウドファンディングは、プロジェクトの目的や実行のプロセス、反響が可視化されるので、仲間意識や当事者意識が生まれやすい。何かしらやりたいけれども、時間がないとか、現場に行くことはできないという人もいると思います。そうした人たちに、自分ごととして考えてもらえるきっかけになってくれたらと願っています。

日経は、男性、そして経営層の方々の目に触れる機会が多いのではないでしょうか。多くの方にCVEの取り組みを知ってもらうことは、とても意義があると考えています。財団を支援してくださる企業も増えていて、先日もセールスフォース・ドットコムが代表取締役会長兼CEOの小出伸一さんを通じ、和歌山県白浜のオフィスに保護犬を迎えてくださったんですよ。

ふと目に留まった記事がきっかけで今の私の活動があるように、何がどう個人の行動、ひいては世の中の流れにつながっていくか分からないものです。できるかぎりメッセージを発し、安心して思いを形にしていただける選択肢を用意することが、私たちの役割だと思っています。

企画・制作:日本経済新聞社 デジタル事業 Nブランドスタジオ

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