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袋小路に入りこんだ働き方改革

 先日、ある企業で働き方改革に関する講演をしました。一通り話が終わった後、1人の方から質問を頂きました。今まであれこれトライしたものの一向に改革が進まない。深い悩みを切々と訴え、「なぜ、うまくいかないんでしょうか?」「どうしたらよいでしょうか?」と言うのです。
 確かに事情をお聞きすると、硬直化した企業風土や従業員の意識の低さなど、一筋縄ではいかない問題を抱えているようです。それを言っても仕方なく、1つの質問を投げかけてみました。

「過去にうまくいったことは、まったく何もないのですか?」不意をつかれた相手は、しばらく虚空を見つめて考えていました。5秒ほどの沈黙の後に、「そう言えば……」とおもむろに1つの事例を紹介してくれました。2年ほど前、あるワークショップをきっかけに、ほんの少しではあるものの社員の意識改革が進んだ例を。

間髪入れず私は言いました。「それですよ、それ。うまくいったことは続けましょうよ。他によい方法が思いつかないのなら、なおさら。悩んでいても仕方ありませんから」

すると、相手の表情が急に明るくなりました。「確かにそうですね。すっかり忘れていました」「さすが先生、ありがとうございます!」と大げさに感謝してくれます。

いえいえ、答えを見つけたのはあなた自身です。私はそのお手伝いをしただけ。そのキッカケとなったのが、「うまくいったことはありませんか?」という質問だったわけです。

「なぜ?」を考えても仕方ないことがある

私たちは、困った問題に遭遇すると「なぜ、うまくいかないのか?」と原因を探りたくなります。その上で、原因をなくす手を打ち、二度と同じ問題がおきないよう、本質的な解決を目指します。

それは間違いではないのですが、人や組織が抱える問題は、複雑に要因がからみあって、原因が特定できないことがよくあります。見つかったとしても、「社長のリーダーシップ不足」となったら、自分たちで手が出せません。

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