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ニッキィの大疑問

定年延長、どうなる? 世代交代や給与体系課題に

2018/5/28

――シニアの人たちはどう考えているのですか。

内閣府の調査によると、男性の26%、女性の21.5%が「70歳くらい」まで働きたいとしています。「働けるうちは働きたい」という回答も男性26%、女性32.6%に上ります。高齢・障害・求職者雇用支援機構の調べでは、働きたい理由の上位は「現在の生活のため」が8割、「老後の生活に備えて」が5割を占めました。ただ「健康のため」「会社や職場から望まれているため」「経験や能力をいかしたい」とする回答もいずれも3割を超えています。経済的な理由にとどまらず、生きがいを持って働き続けたいというシニアも多いことが分かります。

定年延長の課題は60歳を超えた社員・職員にどんな役割を与えるかです。シニア本人がやる気満々でも、いつまでも役職にとどまり、業務の決定権を握ったままでは組織の世代交代が滞ります。かといって長年培った能力や知識を生かせない仕事ではシニアの士気が下がります。

さらに難しいのは給与体系です。日本は年齢を重ねるごとに給与も上がる年功型賃金が色濃く残ります。これを温存したまま定年延長しては人件費コストが経営を圧迫します。問題解決の糸口は、働く人一人ひとりの職務を明確にし、その職務に応じて賃金を設定することです。従来型の日本的雇用慣行を見直す時期に来ています。

■ちょっとウンチク

黒沢作品も年齢設定変更

黒沢明監督の代表作「生きる」は定年間近の公務員・渡辺勘治が主人公だ。末期がんで余命わずかと知った渡辺が事なかれ主義を反省し、理想の公園造りに奔走する。

渡辺の年齢は作中で描かれてはいない。ただ黒沢監督は脚本家と事前に話し、年齢を52~53歳に設定したという。映画の公開は1952年。今からみれば若すぎる年齢設定も当時は妥当だったのだろう。

この「生きる」が18年秋、ミュージカル劇にリメークされて上演される。渡辺勘治の年齢は「まもなく60歳」に置き換えられた。時代の変遷とともに「定年間近」でイメージする年齢も上がっている。

(編集委員 石塚由紀夫)

■今回のニッキィ
高野 由紀子さん 17年間勤めた銀行を定年退職し、2017年春に大学院に入学。修士課程で第二の人生のあり方や生きがいなどを研究している。「ほかの業界の人たちと知り合えたことも財産です」
鈴木 裕子さん 大学で派遣社員として勤務。休日はお気に入りのミラーレスデジカメ片手に公園などを散歩しながら、花を撮影している。「生き生きした花の表情をとらえられた瞬間は爽快です」

[日本経済新聞夕刊 2018年5月21日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜更新です。

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