定年延長、どうなる? 世代交代や給与体系課題に

東ソー・ハイテックでは定年退職後に再雇用された従業員が組み立て作業を担う(山口県周南市にある工場)
東ソー・ハイテックでは定年退職後に再雇用された従業員が組み立て作業を担う(山口県周南市にある工場)

公務員の定年延長が検討されているって聞いたわ。定年退職する年齢を引き上げたり、定年制そのものを廃止したりする企業も出てきたようだけど、今後はどうなるのかな。

定年延長の現状と今後の行方について、高野由紀子さん(61)と鈴木裕子さん(46)が石塚由紀夫編集委員に話を聞いた。

――そもそも公務員の定年延長がなぜ検討されることになったのですか。

発端は2017年6月に閣議決定された政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」です。高齢者の就業促進が盛り込まれ、公務員の定年引き上げについて具体的な検討を進めることになりました。

定年延長が必要かどうか、やるならどう進めるかなどについて識者らが検討を重ね、18年2月に論点整理しました。公務員の定年を段階的に65歳に延長するとともに、一定の年齢に達したら管理職から外す「役職定年」の導入や60歳以降の給与を減額することを検討することが明記されました。

具体的な制度設計は18年夏をめどに人事院がまとめる予定です。19年の通常国会への関連法改正案の提出を目指しています。地方公務員についても、国家公務員に準じて見直される見通しです。

――定年の見直しを急ぐのはどうしてですか。

まず、元気なお年寄りが昔より増えたことが背景にあります。いまや平均寿命は男性が81歳、女性が87歳。「人生100年時代」がはやり言葉にもなっていますが、日本は世界トップクラスの長寿国です。日本では戦前に55歳定年制の導入が進み、80年代以降に60歳定年へと移行しました。長寿化とともに定年年齢を随時引き上げてきた歴史があり、今回の見直しもその一環ととらえられます。

特に日本は人口減少に直面し、将来的に働き手不足が心配されています。足元の有効求人倍率は高度経済成長期並みの高水準に達しています。貴重な労働力として元気な高齢者に目が向いています。公的年金の支給年齢も引き上げられており、高齢者にとっても収入のない空白期間を防ぐメリットがあります。

――企業はどう対応しているのですか。

約8割が60歳定年制を採用しています。ただ人手不足を背景に見直す動きも目立ってきました。ファミリーレストラン業界ではジョイフルが定年制そのものを廃止しました。製造業ではホンダや日本ガイシなどが17年度から定年を65歳にしました。今後は明治安田生命保険が19年度から定年を65歳に延ばすほか、日本生命保険も21年度に65歳定年に移行するとしています。

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