――アウトドア市場は成長しています。

「スノーピークは人間性の回復がコアのミッションの1つ。とりわけ先進国の都市生活者を癒やすのが目的です。アウトドア市場は国・地域の平均年収が1万5000ドルを超えると生まれ、2万ドルで一気に大きくなる。韓国、台湾でもそうでした」

――そう考えたきっかけは何ですか。

「1970年代後半に地元の新潟県三条市を離れ、東京の大学に進学したのですが、どうもなじめなくて。黙って歩く新宿の地下道、満員電車と、経済成長しても日本は豊かじゃない。何が足りないのか、マーケティング的に調べましたよ」

「80年代後半に自動車の登録台数のうち、三菱自動車のパジェロなど四駆車が10%でしたが、ほとんどキャンプに行かない。SUVやミニバンに乗せるキャンプ用品があれば、当たるんじゃないかって思いました」

――転換期はキャンプ場への本社移転ですね。

自社製品を宿泊施設に提供して顧客との接点を増やす(神奈川県横須賀市の観音崎京急ホテル)

「88年にオートキャンプ用品の販売を始め、98年にキャンプイベントをスタートさせたときにお客様が『うちの製品は高い』などフィードバックしてくれました。そこで2000年から問屋仕入れをやめ、販売先の店を1000から250に絞ったわけです。我々のコミュニティーブランドの原点はそこです」

――次の転換期は。

「03年に小売りを始めたことです。1号店は福岡県太宰府市で、今も売り上げは伸びています」

北海道・十勝で観光戦略推進

――近年は街の再生プロジェクトも手掛けています。これも都市生活者の人間性回復の一環ですね。

「アーバンアウトドア事業というもので、自然と都市部をつなぐことです。地方創生やグランピングとか。日本人でキャンプをやるのは6.5%の800万人くらい。つまり人口の93.5%が非キャンパー。一方、スノーピークの売上高の非キャンパー向けは15%にとどまります」

「上場した理由は93.5%を自然とつないで、いかに癒やすかをビジネスに発展させることなんです。アパレルもその一環です」