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職場での指導力がそのままセカンドキャリアで生きるとは限らない。 写真はイメージ=PIXTA

職場での指導力がそのままセカンドキャリアで生きるとは限らない。 写真はイメージ=PIXTA

春の訪れとともに、街にリクルートスーツ姿の学生が増えました。あちこちの会社で就活生向けの会社説明会が行われているのでしょう。カフェでも就活生同士、あるいは先輩と話をしている光景をよく見かけます。

昔は「リクルーター」という制度がありました。入社3年目ぐらいの社員が大学の後輩に「ウチへおいでよ」と声を掛け、勧誘するのがリクルーターです。

外資系からフリーランスへの道を歩んだ私には縁のない制度でしたが、何度となく大学同級生のリクルーターから「大変だよ~」という愚痴を聞かされたものです。このリクルーター制度は、表向きはもちろん学生のために存在したわけですが、どうやらそれだけではなさそうだと、しばらくたって気が付きました。私が見たところ、それは「3年目社員」のリクルーター本人にとっても重要な意味を持っていたのです。

リクルーターの意外な効用

入社3年目といえば仕事に慣れる半面、将来について「迷い」が生じる時期でもあります。「このままでいいのだろうか」と、不安にさいなまれ始めるちょうどそのころ、キラキラした瞳の学生がやってくるわけです。「あなたの会社に入りたいんです」と。このインパクトは強烈です。

「後輩たちがこれほど入りたいと思う会社なんだ」。ここでリクルーターの「崩れかけた自信」はたちまち修復されます。それはリクルーターにとって「会社人間」としての迷いを吹っ切る機会なんだ――。私は友人のリクルーターたちを見ながらそう感じました。

このリクルーターという制度はフリーランスからみれば、うらやましいものです。なぜならフリーランスにはそんな「自信回復」の機会がないからです。仕事で成功しているうちはともかく、そうでないときは自分で自分を励ますしかありません。

プロボノが提供側にもたらすメリット

この「自信回復」効果の点でリクルーターに似た心理的役割を果たしていると思うのが「プロボノ」です。これは弁護士、公認会計士、中小企業診断士、コンサルタントなどの専門家が行う知識・技能的なボランティアをいいます。

プロボノという言葉はラテン語の「pro bono publico=公共のために」に由来します。一般にボランティアといえば災害支援とか環境保護の肉体労働を想像しがちですが、これとは別に「知の貢献」をするのがプロボノです。

会計や法律の分野は苦手としている人や組織が多いので、プロボノによって行われる知の貢献は「提供される側」にとってありがたいと同時に、「提供する側」にとっても意味のある機会になっているようです。「自分の知識が人の役に立つ」経験は本人の自信になります。だから金もうけばかりしているのではなく、積極的にプロボノに取り組むよう、私は若い専門家やフリーランスには勧めています。

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