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再建への挑戦は道半ばで終わった

再建への挑戦は道半ばで終わった

すかいらーく元社長の横川竟(よこかわ・きわむ)氏の「暮らしを変えた立役者」。第20回は社長の座を実質的に追われた経緯を語ります。

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2008年が明けても、会社はがたがたしていた。緊急の役員会を開いた日の午後。取引銀行の支店長から「お宅の動きの情報を役員が流しているから気をつけるように」との忠告を受けた。その内容は「野村証券からいろいろ言われている。俺はしっかりやるから役員一丸となり頑張ろう」と声をかけ、誓約書を書いてもらったとのことだった。流したのはおそらく……。

結局、私は社長の座を追われることになる。引き金になったのは資金調達問題だ。野村から派遣された役員が「横川さん、取引先からお金が集まると言ってきたけど、集まらないじゃないですか」と言ってきた。何の話かと思ったら、銀行から500億円を返済するように言われた野村が、役員の1人にカネを集めてほしいと頼んだという。

実は銀行の融資団が集まり「このままではまずい。一部返済しろ」との意見で一致。既に不良債権の扱いになっていたようだ。これを放置すれば、野村の保有する株式が取られかねず、資金集めに動いたらしい。

確かに以前「資金調達はやりますよ」とは言ったが、私抜きでやっても集まるわけがない。役員が手配できた額は、取引先数社からの計30億円どまり。野村側は「うそをついた」となじる。そこで「1週間時間を欲しい」と伝え、サントリーの佐治信忠社長(当時)にかけあった。

佐治さんは「300億円は出す」と即座に了承、さらに「5年は社長をやってください」と言われた。人事は大株主にお任せします、と答えたうえで「(すかいらーくで扱う)ビールの銘柄は変えられませんが、コーラは御社に切り替えます」と加えると「それでかまいません」と話はついた。伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長(当時)も200億円の出資を約束してくれた。

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