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自分の使うアクセントで、世代が異なる相手に違和感を起こさせているかもしれない。写真はイメージ =PIXTA

自分の使うアクセントで、世代が異なる相手に違和感を起こさせているかもしれない。写真はイメージ =PIXTA

かつて東京都内で開かれた、30歳代から60歳代までという幅広い年齢層の経営者が集まる勉強会に参加してみて驚いたことがある。世代によって「そもそも」という言葉のアクセントが「異なる」という事実だ。

50歳代社長「[そ]もそも国がどう対応するのか、我々は慎重に見極めるべきだ」(高いトーンで読む部分を[]でくくって表記)

この50歳代社長が口にした「[そ]もそも」のアクセントは当然のように伝統的な「頭高(最初の「そ」にアクセントがある)」だった。議論の中身はともかく、「そもそも」のアクセントについて何ら違和感はない。

従来の「そもそも」は最初にアクセント

ちなみに、日本全国のアナウンサーがこぞって携帯する最新の「NHK日本語発音アクセント新辞典」(2016年版)には頭高式の「[そ]もそも」だけが載っている。「新明解日本語アクセント辞典」(三省堂、14年版)も同様に頭高式のみが示される。

「そもそも」の「意味」については以前、こんな議論があった。

「『そもそもには』基本的にという意味がある、国語辞典を見れば書いてある(安倍晋三首相)」

「国語辞典を全て見ましたが、『基本的に』という記述など一つもありませんでした(野党)」

「言葉の意味」でかつて「国論を二分」した「そもそも」が今、「アクセント」でもめている! 相いれない2派とは、「頭高アクセント」派と「平板アクセント派」だ。

一般的には「そもそも」の後ろに「論」をつけた「そもそも論(物事の最初に戻ってする議論)」の場合の「そもそも」が「平板アクセント」という例外を除けば、「そもそも」は「頭高アクセントである」という認識が定着しているだろう。だが、その「常識」は一瞬で揺らいだ。

平板な発音の「そもそも」が普及

先の勉強会で20歳代後半の若手IT(情報技術)事業家がスッと手を挙げ発言した。

20歳代事業家「そ[もそも]国の政策を待つという旧来の考え方に問題がある気がします」

字面は同じだが、先の頭高式とはアクセントが異なる。最初の「そ」はトーンが低めで、続く「もそも」はトーンがやや上がって、平板に発音される。

経営の大先輩を前にして臆することなく堂々と発言する態度は立派だなあと思いつつ、その後もしばしば彼の口から出る、平板アクセントの「そ[もそも]」に「そうか、若い人はむしろ平板なんだ」と「平板そもそも」の繁殖ぶりをあらためて思い知った。この日、彼以外の若い経営者の中には彼同様、「平板そもそも」を使う人が少なくなかったのだ。

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