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ロコンドの田中裕輔社長

ロコンドの田中裕輔社長

便利さ、品ぞろえの豊富さでファッション分野までもネット化が進む。返品無料でのし上がったロコンドも成長組の1社だが、最近は少し修正を加えた。配送を遅らせる代わりに少し割安にする「急ぎません。便」の提案だ。むやみなスピード競争から一線を引いたロコンドの田中裕輔社長にネット経営哲学を聞いた。

――社員の服、みんなくだけてますね。

「米国にいるときから、スーツ姿なんて見たことなかった。弊社の新卒説明会では、リクルートスーツを着て来ないでと言っています。それでも着る人はいますが」

――やはり規律より発想ですよね。

「発想もそうですし、よりシンプルに考えることを求めます。『前から』とか『言われたから』なんて絶対にダメ。大事なのは成果ですから」

女性心理は複雑 返品は悪くない

――ロコンドは返品無料など使い勝手の良さで成長してきました。無料サービスもずいぶん広がりました。

「そこは創業の原点に関わります。米国でのMBA(経営学修士)の講演で出会ったのがザッポス(靴のネット販売)のトニー・シェイ社長。彼のメッセージで一番心に残ったのが『Delivering Happiness』です。靴を売るだけでなく、ハピネスを届けるのだと」

「返品で消費者に罪悪感を与えてはいけない。自宅で1人ファッションショーを楽しむコトを売るという意識ですね」

――マイナス要素をプラスに変えたのですね。

「ここに至るまでは大変で、黒字化までに累積赤字は35億円。返品というとヤマトなどの配送の厳しさを思い浮かべますが、それ以上に手間がかかるのが返品後の作業です。戻ってきた商品を点検し、磨いて……。この作業をいかにコストを抑えてやっていくかです」

「男性は同じブランドを履き続けるなど保守的なケースが多いですが、女性は色々な商品を試します。ですから小売店で圧倒的に欠品するのは靴なのです。課題の多かった商材をネット化で解消し、新しい価値を生んでいると思います」

――最近では事前に足のデータを入力し、ネットで購入するようなビジネスも生まれています。消費者も買い慣れ、返品は減りませんか。

「1つのブランドなら可能ですが、女性心理はそう簡単ではありません。ロコンドでは2千ブランドを扱いますが、一つ一つの商品データを持つのは至難の業です。もちろん減ることは経営としては重要ですが(笑)」

――買い物に占めるネット比率は今後どこまで上がると見ていますか。

「米国ではファッションで10%後半から20%弱、靴だと30%。欧州も同じような状況です。若い世代は合理的ですから、日本も欧米並みに上がっていくと思います」

――店舗は年々きつくなりますね。

「マンゴというアパレルを買収して思ったのは賃料が高く、販売員を雇い続けないといけない難しさです。しかもどんどん顧客はネットにシフトしていく。そこでネット販売の仕組みを店舗運営コストの圧縮につなげようとしています」

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