ただし新規参入が少ない地域を残したままだと問題があります。自由化で競争がある程度進んだ段階で、従来の規制料金は撤廃され、電力・ガス会社が自由に決められる料金メニューだけになります。ライバルがいないと、簡単に値上げをしかねません。

――これからの課題は何でしょうか?

やはり競争のばらつきを解消するため、新規参入がしやすい仕組みが必要です。例えば発電設備を持たない新電力は卸売市場で電気を調達して、消費者に供給しています。この卸売市場を活性化し、多様な電気を調達できるように整備すべきでしょう。

必要な電源を確保していくことも重要です。発電所などの整備には多額の費用がかかります。競争が激しくなると投資をためらう事業者も出かねません。人口減少や省エネ技術の進歩で今後、電力やガスの総需要は減るでしょうが、設備の更新が進まないと供給力が不足しかねません。

ちょっとウンチク

消費者への周知に課題

電力・ガス小売りの全面自由化以降、多様な売り方や新しいサービスが登場した。一方で、政府の電力・ガス取引監視等委員会が17年10月にまとめた調査で、電力の購入先を切り替えない消費者にその理由を聞いたところ、「メリットがわからない」との回答が38.3%、「なんとなく不安」が28.6%あった。

競争の過熱に伴い、高齢者に契約内容を正しく伝えないなどの不適切な営業行為も報告されている。自由化を定着させていくためには、自由化の仕組みを消費者に丁寧に説明する取り組みがこれからも重要になる。(編集委員 松尾博文)

■今回のニッキィ
峰村 和美さん 自営業。料理教室を主催し、最近は美容と健康のためのヘルシーでシンプルな料理を教えている。「食生活の乱れが目立つので、料理を通じて心身共に健康な人を増やしたいです」
和田 真紀子さん 通信関連会社勤務。東京五輪パラリンピックのボランティアを目指している。英語力に磨きをかけるために勉強も始めた。「メダルの授与式や選手の誘導などに興味があります」

[日本経済新聞夕刊 2018年4月16日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜更新です。