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共同出資の新会社設立を発表する中部電力の勝野哲社長(左)と大阪ガスの本荘武宏社長(東京・千代田)

共同出資の新会社設立を発表する中部電力の勝野哲社長(左)と大阪ガスの本荘武宏社長(東京・千代田)

電力の小売りの全面自由化から2年、ガスは1年がたちました。自由化で企業の競争が促されて、電気とガスの料金が安くなるという話だったと思うけど、本当に料金は安くなったの?

自由化後の電気とガスの市場動向について、峰村和美さん(60)と和田真紀子さん(44)が松尾博文編集委員に話を聞いた。

――自由化で実際に何が変わったの?

2016年4月から一般の家庭で契約する電力会社を、17年4月からはガス会社を自由に選べるようになりました。これが電力・ガスの小売りの全面自由化です。

もともと電気とガスは地域の特定の会社としか契約できない地域独占が基本でした。また料金は電力・ガス会社でかかった費用をすべて上乗せできる総括原価方式で決めていました。こうした仕組みだと競争原理が働かず、料金やサービスの改善が滞りがちになります。そこで段階的に自由化が進められたのです。

全面自由化によって、多彩な企業や団体が電力・ガスの小売りに参入し、様々な売り方ができるようになりました。太陽光や風力でつくった電気を中心に販売するメニューや、都市ガスの新築住宅向けの割引など、各社は知恵を競っています。電気とガスのセット販売も人気です。

選択肢ができたことで契約先や契約メニューを切り替える消費者も増え、電力で13.6%の約850万件、ガスは単純合算で9.8%の約170万件になりました。それぞれ約1割の切り替えというのは、海外の先行事例と比べてもまずまずの数字とされます。

――料金も安くなったの?

結論から言うとまだはっきりとは分かりません。確かに電気の場合、16年度で新電力の料金単価は従来の規制料金に比べて約4%、1キロワット時あたり0.9円安くなったという調査結果があります。ですが自由化による競争によって料金が下がったかどうかの評価は、もう少し待つ必要があるかもしれません。

むしろ月々の電気とガスの料金明細を確認すると、見かけの料金は高くなっているかもしれません。理由は2つあります。一つは、電力やガスの燃料や原料になる石油や天然ガスの価格が上昇傾向にあり、原燃料費調整という仕組みを通じて料金にも反映されているからです。

もう一つは、これは電気についてですが、太陽光や風力発電などの普及を後押しするために、これらの電気を買い取る費用を電気料金に上乗せしているからです。制度が始まった12年度は標準的な家庭で月額57円の負担でしたが、太陽光や風力発電が急増した結果、18年度は月754円にまで増えました。

――競争はどうなの? 全国に広がっているの?

実は全国ではまだら模様といった状況です。新規参入が多い東京電力や関西電力のエリアでは新電力への切り替えが10%を超えましたが、中国電力や北陸電力では2%台です。この2社は東日本大震災後しばらく値上げをしなかったこともあり、新規参入が進まなかったのです。

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