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孤独な社長業に向かない性格の人もいる。 写真はイメージ=PIXTA

孤独な社長業に向かない性格の人もいる。 写真はイメージ=PIXTA

「これも働き方改革か」と思わせる動きがありました。知人の社長が大きな組織からスカウトされ、「雇われる」側へ転職する例が相次いだのです。

社長からサラリーマンへ――。事業に失敗したわけではなく、スカウトされて転職というのは、有名経営者でもない限り、割と珍しいことです。たまたま知人の40~50歳代の社長にそんな事例が重なり、新しい時代の到来を感じました。

自らに限界を感じ、外の「異能な人材」を採用する会社が増えているのでしょうか。アグレッシブな社長が大企業病に悩む会社に転職して「喝」を入れるというのは、なかなかいいアイデアだと思います。うまくいけば双方にとってメリットがありそうです。

転職してしばらく経ったご本人たちに話を聞くと、「もう、最高! 資金繰りの心配しなくていんだよ」と、うれしそうに語っていました。社長経験者からすれば、資金繰りや人事などの悩みから解放されて「やりたい仕事に専念できる」という環境は、パラダイスのようなものだったようです。彼らの笑顔は私にもまぶしく見えました。

しかし、彼らの笑顔は長く続きませんでした。彼らはせっかくのパラダイスを自ら辞めてしまったからです。

すべて自分で決めたいワンマン社長の気質

会社を辞めた理由についてはいろいろあると思います。私が見たところ、それは会社側というより、彼ら自身の問題でした。彼らが抱えている「他人が決めたことの責任を取らされるのは納得できない」という気質が主な問題だったようです。

軍隊で上官の命令が絶対であるのと同様、会社勤めのサラリーマンも上司の命令には従わなければなりません。もちろん、それは彼らも納得していました。やりたくないことでも上司の命令であればそれに従う。問題はその後です。不本意ながら「命令でやらされたこと」について「責任を取らされる」。どうやら彼らはそれに我慢できなかったようなのです。

この話、現役サラリーマンのみなさんからすれば「そんなバカな」と思うかもしれません。理不尽であっても上司の命令に従うこと、それについて責任を取らされること。これは中小企業から大企業、そして国会答弁する官僚に至るまで「当たり前の常識」です。勤め人の場合、その理不尽を我慢するのと引き換えに、給与を保証されていると言っても過言ではありません。

しかし、世の中にはその常識が通じない人間がいます。「社長」という人種にはそれが多いのです。よく「ワンマン」と揶揄(やゆ)されるように、社長の中には「すべて自分で決めたい」と思っている人がかなりいます。その代わり、彼らは結果については責任を持ちます(たまに持たない人もいますけど)。

自分で考え、自分で行動し、自分で責任を取りたい――。そんな自己責任気質のワンマン社長のことが私は決して嫌いではありません。なぜなら自分自身もその気質を強く持っているからです。

ここで「ワンマン気質」の良し悪しについて議論したいわけではありません。何が言いたいかというと、人には持って生まれた「気質」があり、それに合わない環境に入ってしまうと、体も心もつらくなる。だから、「自分に合った環境」を見つけるべしということです。

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