部下の話が聞けない上司 本当の原因はどこにある?
第24回 適応的な問題に対処する「氷山モデル」
部下の話を聞けない上司
詳しく尋ねると、「気がついたら、解決策をアドバイスする自分が一方的に話してしまっているのです」とのこと。あなたなら、どのようにして解決に導いてあげるでしょうか。
こんなときに下手にアドバイスしても役に立ちません。頭で分かった気になっても腹に落ちないからです。本人が自ら解決策を発見するように導いていくのが得策です。
そこで一つの質問をしてみました。「聞かないといけないと思いつつも、逆に話をしてしまうのですね。なぜ、そうなってしまうのでしょうか?」。相手は腕組みをして少し考えていました。「本当は部下の話に関心がないのかもしれませんね」
「なぜ、興味がないのですか?」「多分、部下の話は大したことがなくて、自分のほうが優れていると思っているからでしょうか」「だとしたら、どうして自分の話ばかりしてしまうのでしょうね?」
しばらく間があり、「部下よりも優れていることを見せつけたいのかもしれません」という答えが返ってきました。つまり、表の目標(部下の話を聞きたい)と、裏の目標(優れた上司と思われたい)が衝突を起こしているのです。これではうまくいくわけがありません。
繰り返す問題の大もとにあるもの
さらに、「『優れた上司と思われたい』という考えのもとになる前提は何でしょうか? 『○○であるべきだ』という思い込みはありませんか?」と尋ねてみました。もうお分かりのように、答えは「上司は部下よりも優れているべきである」というものでした。
結局、今回の問題の根本にあるのが、このメンタルモデル(固定観念)でした。ここを変えない限り、同じ問題が繰り返されるわけです。
こんなふうに、私たちが日ごろ経験する出来事は、同じことを何度も繰り返し、パターン化しやすいです。それは、ワンパターンになる構造を持っているからです。問題がジレンマを抱えていたり、悪循環になっていたり。