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無料で楽しむ 大パノラマ夜景10選

NIKKEIプラス1

2018/4/1 NIKKEIプラス1

1位の横浜港大さん橋国際客船ターミナル(横浜市)
高層ビルや高台から望む、息を飲むほどの光の地図。
暗闇に浮かぶ夜の街は、昼とは全く別の顔だ。
春に訪れたい無料の夜景スポットをランキングした。

■昼と違う表情 泊まって楽しむ

 昼間歩いた街並みが、日が落ちた後に全景を見渡すとまったく違う表情に見える。そんな経験は誰でもあるだろう。美しい光に包まれた街はそこに住む人にとっても、訪ねた人にとっても居心地のいい空間を演出してくれる。近年、夜景をテーマにした街づくりが全国で注目され、今や世界中の都市が競い合っている。

 1位に選ばれたのはそんな国際観光都市の一つ、横浜港。唯一高所ではない視点からの景観で、9人の選者がベスト10に入れた。3位の長崎・鍋冠山も横浜と並ぶ国際的な港町。「世界新三大夜景」にも選ばれている。2位の東京都庁は200メートル以上の高所から大都市の夜景が広範囲に望め、無料であることのお得感は大きい。6位の東大阪市役所もそうだが、夜景が楽しめる高層の役所は全国に意外と多い。

 夜景評論家の丸々もとおさんは「夜景は泊まってこそ楽しみたい観光資源なので、その経済効果は大きい」と話す。日常空間がそのまま地域の資源となり、暮らしの安全ももたらす。昼と夜、明と暗のコントラストが旅情を誘う。

1位 横浜港大さん橋国際客船ターミナル 770ポイント
桟橋から豪華客船 眺める(横浜市)

 3万トン以上の豪華客船が2隻同時に着岸できる大型の桟橋。夜景を望める空間が広くあり、観賞の対象も「みなとみらいの高層ビル群、豪華客船、沖にはベイブリッジも見える」(川北茂貴さん)。色彩の宝庫といえるダイナミックな夜景がパノラマ状に楽しめる。3人の選者が1位に入れた。ターミナル屋上の展望デッキは“くじらのせなか”と呼ばれ、「きれいに整備された芝生が広がり、開放感あふれる空間は夜にはライトアップされてムードある中で夜景を味わえる」(相良哲平さん)。

 家族連れから恋人同士、外国人など昼も夜もにぎわい「夕暮れ時の景観も美しく、運が良ければ富士山が見える」(横倉和子さん)。桟橋は海に張り出しているため、海域から都会の夜景を望める貴重な場所でもある。夜景スポットは高い場所が多いが「高所が苦手でも楽しめる実は希少なスポット」(山下達也さん)だ。

(1)横浜高速鉄道みなとみらい線日本大通り駅から徒歩約7分(2)終日開放(ターミナル内は21時半まで)(3)http://www.welcome.city.yokohama.jp/ja/tourism/spot/details.php?bbid=179

2位 東京都庁展望室 580ポイント
ビルが織りなす立体感(東京都新宿区)
丸田あつし氏撮影

 新宿のランドマークの45階(202メートル)にある。南北に2カ所あり、バーも併設。1位に上げた選者はいなかったが、総じて高い評価を得た。「新宿の摩天楼を間近に観賞でき、天気の良い日にはオレンジ色に染まった空の美しいグラデーションが作り出す夜景を眺められる」(丸田あつしさん)

 高層ビルが集中する新宿。「ビル群が織りなす立体的な夜景は迫力満点で無料開放していることに驚く」(中村勇太さん)。有料スポットとしては東京スカイツリーと東京タワーがあるが「逆に2つの塔のイルミネーションが同時に楽しめる」(雨宮健一さん)。周辺に建つ「シルエットが美しい新宿パークタワーなどの建築美も魅力」(水津陽子さん)。

 「夜は比較的すいているのでデートの締めにぴったり」(山下さん)。

(1)JR新宿駅から徒歩約10分(2)北展望室は23時、南展望室は17時半(北が休みの場合は23時)まで(3)http://www.gotokyo.org/jp/tourists/info/observatory.html

3位 鍋冠山(なべかんむりやま)公園展望台 450ポイント
世界新三大夜景の実力(長崎市)

 2012年の夜景サミットで香港、モナコとともに「世界新三大夜景」に認定。長崎港を挟んで反対側に稲佐山の展望台がある。鍋冠山公園は2016年に展望台がリニューアル。稲佐山に比べ海に近く、汽笛など港の音も楽しめる。「長崎港の地形が光と闇によってあぶり出され、稲佐山からの夜景とセットで見たい」(岡田昌彰さん)。目前に戦艦武蔵を造った三菱重工長崎造船所、遠くに軍艦島など数々の世界遺産も望める。

 「大型客船が寄港するときは華やかさが増す。季節を変えて訪れたい」(丸田さん)。幕末のロマン漂うグラバー邸から徒歩10分で「観光ルートとしても価値がある」(横倉さん)。

(1)長崎電気軌道石橋駅から徒歩約25分。無料駐車場も(2)終日開放(3)https://www.at-nagasaki.jp/spot/60842/

4位 火の山公園 410ポイント
行き交う船舶 動き生む(山口県下関市)

 敵の襲来を知らせるのろし台が山頂(約270メートル)にあったことに由来。山頂まではロープウエーがあるが、無料のパークウエイや徒歩でも行ける。「海峡を行き交う船舶により夜景に動きが生まれる」(中村さん)

 夜景はもちろん「夕焼けも楽しめるスポットで『インスタ映え』間違いなし」(相良さん)。「夜はライトアップされた関門橋の明かりが海峡をつなぐ絶景を楽しみたい」(水津さん)

(1)バス停「火の山ロープウエイ」から徒歩約30分、無料駐車場も(2)パークウエイは3~10月は22時、11~2月は21時まで(3)https://shimonoseki.travel/spot/detail.php?uid=349

5位 旭山記念公園 370ポイント
噴水ライトアップと競演(札幌市)

 「ライトアップされる噴水がある雰囲気のいい公園」(横倉さん)で、園内の各所からのんびり夜景が眺められる。年間を通じて湿気が少なく空気が澄んでいる日が多いので「北のすがすがしい空気の中にきらめく市街地の光景は鑑賞者に癒やしをもたらす」(丸々もとおさん)。

 「函館に並ぶ北都屈指のパノラマ夜景」(岡田さん)との評もあり、「札幌の定番スポットの藻岩山と比べ市街地に近いため夜景がグンと迫ってくる」(雨宮さん)。

(1)バス停「旭山公園前」から徒歩約4分(2)無料駐車場は22時まで(3)http://www.sapporo.travel/find/nature-and-parks/asahiyama-memorial-park/

6位 東大阪市役所展望ロビー 350ポイント
高速の流れ 未来都市のよう(東大阪市)

 眼下に展開するライトに浮かんだ高速道路が未来都市のようでインパクトがある。「眠ることのない東大阪ジャンクション(JCT)を一望でき、車の流れを目で追っているとあっという間に時間がたつ」(雨宮さん)。高さは約100メートル。

 写真愛好家には親しまれているが、ロビーからはJCT方面のみ撮影が可能。「高速のJCTを見下ろせる場所は意外と少なく、ここは最高ランクの迫力が味わえる」(川北さん)

(1)近鉄けいはんな線(地下鉄中央線)荒本駅下車徒歩約5分(2)23時まで(3)https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000005604.html

7位 測量山展望台 270ポイント
壮麗な製鉄所の夜景(北海道室蘭市)

 約200メートルの山頂にあり室蘭港を一望でき、気象条件が良ければ函館市の街明かりも望める。2人の選者が1位に入れた。「鉄の街・室蘭ならではの製鉄所の工場夜景が素晴らしい」(川北さん)。展望台に登る階段は足元を照らすフットライトが整備されている。

 「室蘭の特徴的な馬てい形の地形が光によってあぶり出され、壮麗な工場夜景と白鳥大橋の優美な姿も必見」(岡田さん)。「様々な要素が詰まっており、展望台にそびえる鉄塔がカラフルにライトアップされる」(中村さん)

(1)JR室蘭駅から車で約10分。無料駐車場も(2)終日開放(3)http://muro-kanko.com/night/sokuryouzan.html

8位 笛吹川フルーツ公園 240ポイント
甲府盆地の繊細な光群(山梨市)

 視線を遮るものが少なく、広大な公園のどこからでも甲府盆地の夜景を望める。園内のガラスドームが大きな特徴。噴水もムードを高めてくれる。「卵形のドームのライトアップと甲府盆地の繊細な光群のコントラストが見事」(丸々さん)。よく晴れた日には富士山のシルエットと街の明かりが楽しめる。

 周辺の観光スポットも充実。「夜景を楽しみながら入浴できる施設もあるので観光の締めくくりに活用できる」(山下さん)

(1)JR山梨市駅から車で約7分。無料駐車場完備(2)終日開放(3)http://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p1_4965.html

9位 釜臥山展望台 210ポイント
半島がつくり出した奇跡(青森県むつ市)

 下北半島最高峰(879メートル)の山頂近くにある。湾と下北半島がつくり出す独特な地理条件により「羽を広げたアゲハチョウに見える奇跡の大パノラマが観賞できる」(丸々さん)。陸奥湾を挟んで八甲田山の山々、天候が良ければ函館の夜景も遠望できる360度の大パノラマ。

 「夕暮れから次第にくっきりと夜景が形づくられ、時間の移ろいを楽しめる」(丸田さん)のも魅力だ。

(1)むつ市街から車で約30分。無料駐車場、山頂までの遊歩道も整備(2)21時半まで(11~5月下旬は冬季閉鎖。積雪状況によるので要確認)(3)http://www.aptinet.jp/Detail_display_00000046.html

10位 湯けむり展望台 200ポイント
温泉街ならではの情緒(大分県別府市)

 日本一の湯量を誇る別府の温泉街が一望できる。NHKが募集した「21世紀に残したい日本の風景」では、富士山に次ぐ2位に「別府の湯けむり」が選ばれた。「街のあちこちから湯けむりが立ち上る唯一無二の景観が、街づくりやブランド化につながった」(水津さん)

 案内板やベンチも整備され「ファミリーも外国人観光客も楽しめる日本ならではの夜景」(相良さん)。土日や祝日などには湯けむり自体がライトアップされる。

(1)JR別府駅から車で約20分、湯の川バス停から徒歩約9分(2)終日開放(駐車場は4~10月は22時、11~3月は21時まで)(3)https://www.visit-oita.jp/spots/detail/5718

◇  ◇  ◇

 ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。展望スポットの名前(所在地)。(1)交通手段(2)夜間の入場可能な時間(3)情報サイト。写真は1、3、4位瀬口蔵弘撮影、2位丸田あつし氏、そのほかは各自治体の提供。

 調査の方法 基本的に無料で行ける全国の夜景スポットから、専門家の協力で28をリストアップ。夜景の美しさと迫力、観賞スポットの充実度、観光地としての魅力などの観点で10人の選者がそれぞれ1~10位を選定し、編集部で集計した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。

 ▽雨宮健一(KNT-CTホールディングス国内旅行部)▽岡田昌彰(近畿大学理工学部社会環境工学科教授)▽川北茂貴(夜景写真家)▽相良哲平(いこーよお出かけフォトガイド)▽水津陽子(地域活性化・まちづくりコンサルタント)▽中村勇太(日本夜景オフィス社長)▽丸田あつし(夜景フォトグラファー)▽丸々もとお(夜景評論家)▽山下達也(アソビューチーフバイヤー)▽横倉和子(日本旅行総研研究員)

[NIKKEIプラス1 2018年3月31日付]

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