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京王電鉄「トリエ京王調布」副支配人 上村裕希さん

京王電鉄「トリエ京王調布」副支配人 上村裕希さん

座席指定列車「京王ライナー」の運行が始まった京王電鉄。全線の中間、分岐点にある調布駅(東京都調布市)前には2017年、ショッピングセンター「トリエ京王調布」がオープンした。街を大きく変えた商業施設の開発を手がけた、京王電鉄「トリエ京王調布」副支配人、上村裕希(うえむら・ゆき)さんの「粘り勝ち」の仕事術とは?

◇  ◇  ◇

京王線では初となる座席指定列車「京王ライナー」が2018年2月、デビューしました。新宿駅から京王八王子駅・橋本駅方面への下り電車で運行が始まり、仕事帰りに座ってゆったり帰宅いただけるようになりました。沿線にお住まいの方に快適な列車運行を提供することとともに力を入れているのが、駅を中心とした沿線の街づくりです。

そんな沿線開発の取り組みとして、17年9月にオープンした調布駅周辺の商業施設「トリエ京王調布」が、私の仕事場です。この開発計画が始まった当初からプロジェクトに携わり、オープンした後も引き続き副支配人として運営にかかわっています。テナントさんの営業支援、セール・季節イベントといった販売促進に加え、施設の修繕メンテナンス、トラブル対応などの総務的な業務も行っています。

大きかった東日本大震災の影響

調布駅は12年に線路の地下化が完了し、その後、地上部の開発が始まりました。新しく地上に生まれた敷地は駅前広場を挟んで細長く3つに分かれているという難しいレイアウト。そのうえ、開発当初には「そもそも着工できるのか」という不安もありました。というのも、前年に起こった東日本大震災の影響が精神的にも物理的にも大きかったからです。

東北の復興工事に加え、20年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定による新たな建設計画ラッシュで建設業界は大忙し。人手不足を背景に建築費はかさむばかり。想定以上の建設費の高騰により、何度も計画の見直しを行っては収支を計算。当時は「コストを抑えて良い商業施設を!」が合言葉のような日々でした。

テナント誘致で意識した「調布らしさ」

プロジェクトのチームメンバーは私を含めて9人でした。私はテナント誘致と運営管理を担当。「どこの商業施設もお店が似たり寄ったり」と言われがちなこともあって、店舗の顔ぶれは「調布らしさ」にこだわりました。

どの区画もお客様が飽きない空間になるよう、そしてテナントさんにとっても魅力的になるよう、利用者の動線を考えながら設計図面も自分で細かくチェック。想定外のコスト増大を防ぐためには工期管理も重要なので、テナントさんとの調整を綿密に進め、「この日までに出店を決断してもらわねば」と、あちらこちらを飛び回りました。

それでも開業半年前を迎えた段階になって、とあるテナントさんの内装施工会社が見つからず、「今回は出店中止もやむなし」という事態が発生。八方塞がりになった末、最後は場違いの会議に無理を言って同席させてもらい、どうにかピンチを切り抜けるという、冷や汗の出るような場面もありました。

「素人」の強みを発揮

このプロジェクトを通じて再認識したのは自分の「粘り強さ」でした。「絶対に達成する」という強い思いで「こっちがダメでも、あっちなら」と、固定概念や業務領域を越えて動くことで難題を解決できたことが何度もありました。どうしても出店をお願いしたい飲食店さんへの交渉の糸口を探して、その店で扱っているドリンクメニューを調べ、出入りの飲料メーカーさんに頼み込んでご紹介いただいたケースもその一例。いったんは断られたテナントさんを諦めきれず、別業態での出店を交渉し、首を縦に振っていただいたこともありました。

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