個人ブランドの旗を立てよう ギャラ交渉をしない理由

「自分にしかできない提供価値」が自分ブランドにつながる。 写真はイメージ=PIXTA
「自分にしかできない提供価値」が自分ブランドにつながる。 写真はイメージ=PIXTA

私は会社を辞めて独立し、以来、ずっと、自分を一つのブランドとして創るイメージで仕事してきました。ブランドアドバイザーという仕事をしているから、余計にそうなのかもしれません。JOYWOWという自分の会社のブランドと共に、「阪本啓一」という個人ブランドの旗をはっきりさせることに注力しています。仕事の優先順位の第一がこれと言っていいほどです。

ブランドというと、エルメスとかグッチとかみたいで「大きく出たな」と思われるかもしれませんが、小さな商店でも個人でもブランドになり得ます。「他と違っている何か」「そこにしかない何か」を備えている場合、それはブランドです。例えば、75歳で起業し、91歳の今年も元気に地元津軽産の材料を用いて、年5万個の笹餅を作り続ける桑田ミサオさんという方がおられます。素敵なブランドです。

会社員の場合、自分をブランドとして考えることはなかなか難しいし、その習慣もないかと思います。所属している企業のコーポレートブランドや、担当商品のブランドが前に出て、自分はその黒子的な位置付けになっているのかもしれません。ところが、転職や起業した場合、個人がブランドとして自ら旗を立てないと、ビジネスに育たないのです。では、どうすれば個人がブランドになるのでしょう。

自分を「ブランド」として考える

ブランドとは、「約束」です。スターバックスは台北でも横浜でもニューヨークでもラテのレシピは同じです。独特の店舗の空気感も統一されています。つまり、提供価値が担保されています。また、スターバックス以外では体験できない独自価値を提供しています。これを「とんがり」といいます。約束&とんがり、これがブランド。個人に置き換えてみると、「何ができるか」「それはあなたにしかできないことか」となります。

会社の仕事は基本的に、置換可能なように設計されています。転勤や配置換えがありますから。だからこそ、「自分にしかできない提供価値」をつねづね意識することが大事です。

営業職の場合で考えてみましょう。売る商品は同じでも、お客様との関係性の構築において、人との違いを作ることが可能です。お客様からの評価で「彼の言うことは信頼できる。事実に基づいて話しているし、数字も正確だ」というのでも十分なのです。

知人は、住宅の営業マン時代、IT(情報技術)についての知識を深め、クラウドサービス分野で社内随一の専門家になりました。結果、営業マン個人の頭の中にあった顧客情報、特に定性情報を営業部で共有するシステム構築に貢献することになりました。現在はクラウド部門の責任者をしています。

セカンドキャリアは「信用」が生命線

転職にせよ、フリーランスで独立するにせよ、起業するにせよ、大事なことは「信用」です。「あの人にあれを頼めば、まず間違いない」という感じのイメージです。

独立して最初に依頼していただいた仕事が、月刊誌のコラムでした。コラムの仕事で信用を得るために何が大事か。何よりも締切を守ることです。すべての仕事は、次の人へのバトンタッチ。バトンを渡す相手が楽になるようにすること、これが信用につながります。

コラム執筆は編集者へのバトン。編集者が楽になるには、締切をしっかり守り、「あの人は間違いなく締切に間に合わせてくれる」という信頼を築くことです。そうすればその仕事は続きます。スケジュールの都合で締切近辺が厳しい場合は早めに納品します。

遅いよりも早めのほうがよほど編集者は楽なのです。月末が納期なのに、そのタイミングで出張が立て込んでいるのがわかった場合は月初に納品したこともあります。おかげさまで独立直後から始まったコラムの仕事は19年目に入った現在も続けさせていただいています。

コラムが読者の役に立つ内容であることはもちろん必要です。でも、あえて言えば、それよりも締切です。

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
出世ナビ記事アーカイブ一覧