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講演の聞き方にも所属先の違いが映し出されるという。 写真はイメージ=PIXTA

講演の聞き方にも所属先の違いが映し出されるという。 写真はイメージ=PIXTA

花粉の舞う就職活動の季節となりましたが、今年は空前の「売り手市場」だそうです。人事担当者に話を聞けば、あらゆる工夫によって学生に魅力を伝える努力をしている様子。親切な会社説明会、内定時のおもてなし、そして入社後の研修。どれも至れり尽くせりです。「少々甘やかしすぎでは?」とすら見えますが、「そうでないと、優秀な学生に来てもらえない」のだそうです。

就活であまりに「キラキラしたサラリーマン生活」のイメージを持ちすぎると、入社してすぐに現実とのギャップに苦しむ新入社員が出ないかと、心配になります。そんな事態を避けようと、最近は新入社員研修で「メンタルヘルス研修」を実施して、「心を強く持つんだよ」と優しく諭す会社まで出てきました。

名刺の出し方から基礎的なビジネススキルの数々、そして落ち込んだときの心の立て直し方まで、最近の会社は新人研修を充実させています。「そこまで面倒をみると、自立心が失われるのでは?」と、過保護が心配なほどに。

講師から見た受講者気質の違い

私は研修の講師としていろいろな会社にうかがいますが、やはり業界、会社によって受講者の雰囲気がかなり違います。「日本の大企業」と「外資系の企業」では新人の段階から雰囲気が異なります。ベテランともなれば「受講者の動き」に相当の差が出ます。

日本の伝統的な大企業では、会場にやってきた参加者が「後方の席」から座りはじめます。休憩時間になると、みんな休みます。講義が終わると、彼らは会場を後にして職場に戻ります。多くの人にとってこれは当たり前ですよね。

これが外資系だと様子が違うのです。外資系の多くでは、参加者は「前方の席」から座りはじめます。そして休憩時間、かならず何人かが質問にきます。そして、講演が終了すると、これまた必ず何人かが名刺交換にやってきます。

彼らは講師である私と「個人的な関係」を持ちたいと思っているのです。なかには「これから飲みに行きませんか?」とその場で誘ってくる方もいます。彼らは「今の会社を辞める」ことを前提に仕事や人間関係をとらえています。

そんなふうに「個人としての接触」を求めてくる人は日本の大企業ではまずお目に掛かれません。これは講師に対して「失礼」にあたると思われているのかもしれません。あるいは同僚の中で一人だけ「抜け駆け」することが問題なのかもしれません。

私は決して転職が多い外資系文化が素晴らしいとは思いませんし、また、自己アピールを強くして人と関係を結ぶのがいいとも思っていません。ただ、「礼儀正しいサラリーマン」として組織に埋没しすぎるのはどうかと思います。生涯ずっとその会社にいるのならまだしも、「定年後」まで考えると、これからはもう少し「個人として立つ」ことを考えたほうがいいと思うのです。

冒頭に「共感」を加えるだけでうまい質問に

「とにかく目立たぬよう、周りと同じように行動する」。これは会社以前に日本人気質なのでしょうか。日本企業の新入社員研修で、「何か質問は?」と問いかけても、なかなか手が挙がりません。

がっくりした講師の私は、説教まじりに「質問することの大切さ」をとくとくと語るわけです。その後にいまいちど聞きます。「何か質問は?」。

すると、今度はその場の全員が一斉に「ハイッ」と手を挙げるのです。これには苦笑するしかありません。「……どうにかならんか、君たちは」。少しは自分自身で考え、人と違った行動をしようぜと、また説教が続くわけです。

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