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クラシエホールディングスの石橋康哉社長

クラシエホールディングスの石橋康哉社長

経営破綻したカネボウの日用品、食品、医薬品を引き継ぎ、10年前に再出発したクラシエホールディングス。日用品を軸に業績も徐々に回復し、黒字化も果たした。石橋康哉社長は「医薬品を扇の要にシナジーを生んだ独自商品を増やし、売上高1000億円を目指したい」と意気込む。

歴史が生んだ「忖度体質」を一掃

――クラシエHDとして再出発してから10年。黒字化も果たしましたが、つらかったことは。

「最初は全部。ゼロどころか、マイナスからのスタートでしたから。何より残った社員の意識をどう高めるか。確かにカネボウは破綻したが、日用品、食品、医薬品の3事業が失敗したわけじゃない。だから自信を持って進んでいけばいいと」

「先日、全国5カ所で10周年の感謝の会を開きました。みんなで振り返って何が良くて、何が悪かったのか、何を変えればいいのかなど、議論していましたね。残った社員は意地がありました。辞めた優秀な社員もいましたが、『見返してやる』『残らなかったことを後悔させたい』とか、反骨心むき出しでした。それが強いまとまりにつながったわけですが」

――変えたことは何ですか。

「最近、忖度(そんたく)という言葉がはやっていますが、そういう体質だったところですね。カネボウは明治時代には多くの女子工員を全国から集め、寮に入れて、勉強も教える。高校卒業の資格も取得できるように配慮して。それで家族主義の塊のようになっていったわけですね」

「いい面もありますが、身内同士が守りすぎる負の部分も出てきます。日本の古い会社には共通していますね。そこで上司をおもんぱかりすぎないように『さん』づけにしたり、社用車は一切廃止にしたり、細かいところまで手をつけました」

――その後、毛染め最大手のホーユーに買収されました。どんな影響がありましたか。

「ホーユーの先代社長だった故・水野新平さんに決断していただいたのですが、本当に経営をフリーハンドで任せてくれました。印象深い思い出が1つあります。新平さんが『企業規模で言えば小が大を食うわけだが、クラシエの社員は納得できますか。がんばってくれますか。それだけが不安です』と言うのです」

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