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パソコンでメモを取りながらの商談や会議が増えてきた。 写真はイメージ=PIXTA

パソコンでメモを取りながらの商談や会議が増えてきた。 写真はイメージ=PIXTA

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長はまれに見るしたたかな「リーダー」だ。主として国内向けだろうが、彼の「存在感+偉大さ」を誇示するために「視察先で部下にさせている行為」に私は長らく注目している。それは取り巻きの軍人と、現場の責任者らしき人物計10人近くがこぞって左手に小型手帳、右手にボールペンを持ち、委員長が「豚のうんちく」を述べればすかさず「ほー」と言う表情でペンを走らせる行為だ。

メモ取り行為に託した「リスペクト」

メモ帳を「敬意」と「親愛」を表す小道具にして、視察映像をテレビで、映画で、党の機関誌で国民に見せることで国民の支持を取り付けようとの戦略かもしれない。手帳の「記録機能」ではない、別の「対人関係操作」という役割に、委員長が注目し活用しているのは「さすが」とも言える。

かつて我が国でも高度経済成長期のサラリーマンは「客先や上司から対面で話を聞くときは、必ず手帳とペンを持って聴け」と言われたものだ。

なぜか? もちろん、メモ取りは金額やスケジュールなどの大事な伝達事項を漏らさず聞き取るためでもあるが、それと同時に「あなたの話すことはとても大事なことだから、聞き逃がしのないように書かせていただきますよ」と「リスペクト」を示すサインでもあったからだ。

メモを手に持つからといって、視線をメモに落としっぱなしは論外。基本は相手の目を「尊敬のまなざし」でしっかり見詰め、適切にうなずき、相づちを打ち、相手が「ここぞ」と力を入れたと思われる場面で素早く視線をメモに移し、キーワードを走り書く。

さらに聞きたいことがあれば尋ねる。尋ねた答えが返ってきたら「そういうことでしたか、勉強になります」とかつぶやきながら、それまで以上に力を込めてペンを走らせる。こういう「メモ取り部下」を悪く思う客先、上司はいないというわけだ。

さてここまで読んで「イライラした」「むかついた」「こういう前時代的じじいがいるから効率が上がらないんだ」と腹を立てる方が現在は圧倒的に多いことを私も「よーく」知っている。

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