白石温麺、豊富なメニュー そば風にもラーメン風にも
自宅の近所に東北出身の奥さんがやっている総菜の店があります。その店頭に乾麺の「白石温麺」が置いてあるのですが、何度も目にしながら1度も買ったことがありませんでした。というのも、自分流に料理を作ってあまりうまくいかなかったら温麺への興味が薄れるのではないかと思ったからです。本場白石で食べて、その後自分流を試してみようと決めました。
そして訪れた白石市。まず平成7(1995)年に復元された白石城天守閣を訪れ、眼下の市街を眺めました。静かな落ち着いた城下町のたたずまいが広がっています。お城を後に街中を歩くと、そこここに「温麺」の看板やのれんが下がっていました。老舗らしい店に入ってメニューを見ると、温かいもの、冷たいも、その品数の多さに驚きます。そうめんは温冷合わせても品数は限られていますが、温麺はうどん・そば並のバリュエーションがあるのです。
かけ、わかめ、きつね、月見、とろろ、梅、おぼろ、鶏、豚バラ、天ぷら、牛肉、けんちん、カレー、山菜、ざる、天ざる、酢味噌あえ。
そうめんと違って油でコーティングしていない上に、麺の長さが10センチほどなので、するすると喉を通ります。なんと上品な味わいでしょうか。私としては珍しく、何軒か食べ歩きました。
その後、乾麺の温麺を買ってきて自分でこしらえてみました。やはり、どこか違うのです。最大の違いは、白石のあの町並みから漂ってくる穏やかな空気がないことでした。
(食と旅のコラムニスト 野瀬泰申)
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