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バレンタインに こだわりのカカオ香るチョコ10選

NIKKEIプラス1

2018/2/4 NIKKEIプラス1

焼きつくような日差しと大地の力を凝縮したカカオ豆。
その香り、苦み、酸味を、職人の卓越した技が引き出す。
豆にこだわり抜いた、カカオ香るチョコレートをランキングした。

■産地や製法変え、風味・個性際立つ

 カカオの風味を際立たせた、タブレット(板)チョコレートが静かなブームになっている。見た目はシンプルだが、豆の種類や産地、製法を変え、個性を打ち出せることが職人たちの創造力を刺激する。

 豆の買い付けから焙煎、粉砕、練り上げ、製品化までを内製化した「Bean to Bar(ビーントゥーバー)」と呼ばれる生産方式も盛んで、栽培農家まで赴く作り手も少なくない。小規模な設備でも生産できるため、ここ数年で多くの「作品」が誕生した。

 カカオは南米が原産の果樹。収穫した果実の種がカカオ豆で、チョコレートのもととなる独特の甘い香り、苦みや酸味が特徴だ。チョコレートの本場、ヨーロッパでは酸味が好まれ、日本人は苦みが好きといわれる。

 カカオの風味は品種や土壌だけでなく、その年の天候の影響も受ける。職人と話すとワイン同様、風土の違いに着目する「テロワール」という言葉が頻繁に飛び出す。そこに焙煎温度や時間など加工方法の違いが加わることによって、チョコに大きな違いが生じる点もワインに似ている。

 産地の違いを味わったり、生産方式へのこだわりを語り合ったりするのも楽しい。趣向を凝らしたパッケージやカカオに含まれるポリフェノールの健康効果も魅力だ。

1位 ショコラティエ パレドオール 1054ポイント
甘み・酸味・苦みが調和(東京都千代田区)

 アルチザン タブレット ビター ベトナム72% 山梨県北杜市の工房で豆の選定から手がける。中南米やアフリカ産の豆を使う商品が多いなか「フルーティーな酸味を引き出せるベトナム産を選んだ」(オーナーシェフの三枝俊介さん)。口に入れた瞬間は繊細で優しく、次第に甘さや苦みが力を増す複雑な味わい。「甘み、酸味、苦みが見事に調和した大人のチョコレート」(長谷川純一さん)。「ドライフルーツの風味も心地よい」(糸田麻里子さん)

 部分によって厚さが異なる独特の形状で「味の違いを楽しむ提案をしている」(市川歩美さん)。「口どけのなめらかさは群を抜く」(平岩理緒さん)。チャックを付けた包装は開封後も持ち運びやすく、「機能性に優れたデザイン」(君島佐和子さん)。「コーヒーと合わせてゆっくりいただきたい」(三谷ふきさん)。

(1)50グラム(2)972円(3)http://palet-dor.ocnk.net/

(上から)1位のショコラティエ パレドオール、2位のパティシエ・エス・コヤマ、3位のプレスキルショコラトリー
2位 パティシエ・エス・コヤマ 752ポイント
風吹き抜ける丘陵地の豆使用(兵庫県三田市)

 スピリット・オブ・カカオ・ノワール チリリケ70% 風が吹き抜ける丘陵地で育ったカカオ豆を使った。オーナーシェフの小山進さんが産地のペルーを訪れ、世界一の品質を目指す生産者の意識の高さにほれ込んだ。「自分はみんなの代表者。ぜひ、産地や果実としてのカカオを感じてほしい」(小山さん)。熟した黄色のカカオの実を前面に押し出したパッケージに「期待が高まる」(猫井登さん)。

 しっかりとしたカカオとナッツの風味がありながらも「渋みやえぐみはほとんどなく食べやすい。舌触りもなめらか」(糸田さん)。「濃く深い味わいを好む人に。エスプレッソと楽しみたい」(隈部美千代さん)。ソムリエからは「果実の酸味となめらかな舌触り。独特の甘みやコクがあるポートワインと合わせたい」(長谷川さん)との意見があった。同店ではこの板チョコからボンボンショコラを作る予定。カカオ豆の風味の良さをより引き出すという。

(1)50グラム(2)1296円(3)http://www.es-koyama.com/rozilla/tablet/054.html

3位 プレスキルショコラトリー 626ポイント
ワインほうふつ、かんきつ系酸味(東京都武蔵野市)

 コロンビア・アラウカ70% 16年に開業した、焼き菓子とチョコレートの専門店。カカオ豆の焙煎(ばいせん)には細心の注意を払う。粒をそろえ、時間を微調整しながらほどよくオーブンで焼く。ワインを思わせる甘い香りとかんきつ系の酸味が特徴だ。

 ショコラティエの小抜知博さんが自ら欧州で見つけた型を使っていて、美しい花の模様が目を引く。「優れたデザイン。厚みも2種類設定しているところがいい。なめらかでチョコレートとしての完成度が高い」(君島さん)。厚みにより味わいが異なるという。

 カカオ豆は板チョコに向いたものを選び、香りや風味を邪魔しないグラニュー糖を使う。カカオの香りを残し、酸味の具合を計算した。「ほどよい酸味と甘みがバランスよく食べやすい。年齢や性別を問わず幅広く好まれそう」(隈部さん)。「ゆっくりと口の中で溶けていく。エレガントでいて力強く、余韻もふくよか」(瀬戸理恵子さん)。甘い白ワインとの相性もよい。

(1)35グラム(2)864円(3)http://presquile.co.jp/

4位 ミュゼ・ドゥ・ショコラ テオブロマ/カカオストア 582ポイント
低温焙煎、苦み少なく(東京都渋谷区)

 BTBメキシコ メキシコの指定農園で育てたホワイトカカオの豆を、オーナーシェフの土屋公二さん自らが110度という低温で焙煎しブレンド。ミルクチョコレートのような淡い色で苦みが少なく「優しいフルーツ感とスパイス香があって食べ飽きない」(糸田さん)。「デザートワインや紅茶にも合いそう」(鈴木兼介さん)

 パッケージには画家の樋上公実子さんが描いた、メキシコを代表する動物のジャガーをあしらい「ハンドバッグから出した時におしゃれな人だと思われることを目指した」(土屋さん)。

(1)50グラム(2)1728円(3)http://www.theobroma.co.jp/

5位 ル ショコラ ドゥ アッシュ 580ポイント
深い果実味や土の香り(東京都中央区)

 タブレット ペルー カカオ ブラン 70% ペルー北西部、ピウラ地方産のホワイトカカオを使用。パティシエの辻口博啓さんが「深い果実味や土の香りを感じてほしい」と話す味わいは「ゆっくりした口どけの中から酸味とさわやかさがシャープに立ち上る」(瀬戸さん)。「かんきつ系やアップル、ピーチ、チェリーなどの複雑な風味」(藤田靖弘さん)との表現も。

 「口の中にいつまでも残る印象的なチョコレート」(隈部さん)、「白ワインとの相性が良さそう」(長谷川さん)。

(1)70グラム(2)1950円(3)http://www.lcdh.jp/index.html/

6位 ショコラトリータカス 578ポイント
甘い香り、なめらかに溶ける(名古屋市)

 タブレットノワール70 チョコレート専門店が手がける十字の模様が特徴の板チョコ。「口に入れる前に甘い香り。なめらかに溶けてチョコレートらしい」(君島さん)。「ミルキーな優しくやわらかな香りで、子どもと一緒に食べられる味わい」(猫井さん)

 主にベトナム産の豆を使う。「キャラメルのような香りで苦みもちょうどいい」(隈部さん)。「最初に砂糖の甘みとシナモンのようなスパイス感。チャイと組み合わせても面白い」(糸田さん)。名古屋の店舗ではショコラドリンクも味わえる。

(1)50グラム(2)1080円(3)http://www.chocolaterie-takasu.com/

7位 明治 568ポイント
コーヒーやナッツほうふつ

 明治ザ・チョコレートコンフォートビター スーパーやコンビニで販売し、ビーントゥーバーを身近にした明治の高価格ブランド。人気沸騰で豆が不足し、いったん販売を休止したが、昨秋から再開した。「コーヒーやナッツを思わせる日本人になじみのある味」(市川さん)

 ベネズエラなど産地で豆の栽培方法を統一し、発酵日数や方法を指導する。高温で深煎りし、強い風味を引き出した。「カカオ分の多いチョコを初めて食べる人にはマイルドで食べやすい。香ばしく親しみやすさがよい。麦茶に合いそう」(鈴木さん)。「アーモンドやピーナツのようなナッツの香り。深煎りしたコーヒーと合う」(藤田さん)。食べきりサイズで3枚入り。

(1)50グラム(2)248円(3)http://www.meiji.co.jp/

8位 サタデイズ チョコレート 536ポイント
イチジクのような酸味(札幌市)

 トーゴ72 個性的なカカオ豆を使う。豆自体に甘さがあり、シナモンのような香りやイチジクを思わせる酸味が特徴で、「ナッツ系の味わいや、果実のような香りが楽しめる」(猫井さん)。「スモーキーな風味と華やかに立ち上る香りがいい」(三谷さん)

 きび糖とカカオバターで甘さと口どけを調整した。「奥行きのある香りと酸味。心地よい苦みとのバランスがよい」(平岩さん)。7カ国8種類の板チョコを販売する工房兼カフェではドリンクも飲める。「布のような手触りの紙でスタイリッシュ」(瀬戸さん)など包装も支持された。「小豆を思わせる。和菓子の感覚でほうじ茶や緑茶で楽しみたい」(長谷川さん)。

(1)65グラム(2)980円(3)http://www.saturdayschocolate.com/

8位 レ・カカオ 536ポイント
5カ国の豆 食べ比べ(東京都品川区)

 マダガスカル72% ベルギーチョコで知られる「ピエール・マルコリーニ」でシェフを務めた黒木琢麿さんが、豆の選定から手掛けるチョコレート専門店。5カ国の豆から作る5種類の板チョコは、食べ比べできるようすべてカカオ72%。「産地の特徴を感じてほしい」(黒木さん)。中でもマダガスカルは心地よい酸味が特徴だ。「さわやかな酸味でビーントゥーバー初心者でも挑戦しやすい」(平岩さん)

 「バニラの香りのあと、パッと広がるかんきつ香の対比が面白い」(市川さん)。「上質の赤ワインのような複雑な味わいがあり、甘みから酸味へと変化するのが楽しい。食後にゆったり楽しみたい」(猫井さん)

(1)40グラム(2)1100円(3)http://www.les-cacaos.shop/

10位 グリーンビーントゥー バー チョコレート 504ポイント
1カ月以上かけ加工・熟成(東京都目黒区)

 ナティーボ ブランコ ペルー 73% 東京・目黒川沿いの美しい工房で丁寧に作られる、少量生産のチョコ。産地から直接買い付けた、輝くような黄金色の豆を1カ月以上かけて加工・熟成させる。使うのはカカオ豆とオーガニックシュガーだけ。「華やかなベリーのような酸味の中に、ほのかに苦みが広がる」(平岩さん)。「ブドウの種やグレープフルーツ系の香りもさわやか」(市川さん)

 包装には古典柄をアレンジしたデザインの和紙を採用。ペルー以外にもタンザニアやマダガスカル、ボリビアなど豆の産地ごとに多数の商品を用意しており、味の違いだけでなくレコードジャケットのような洗練されたデザインを楽しめる。

(1)55グラム(2)1620円(3)https://greenchocolate.jp/

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 ランキングの見方 数字は評価点。店またはブランド名(所在地)、商品名。(1)内容量(2)税込み価格(3)URL。※は通販なし。写真は瀬口蔵弘撮影、スタイリング・来住昌美。

 調査の方法 編集者らに取材し、話題の店を選定。カカオ70%以上で2000円前後までの条件で店におすすめを挙げてもらい、25品を用意。商品名を伏せて試食し、自分用におすすめのものを外観、風味、素材感の3点で順位付けしてもらった。パッケージのワクワク感も評価してもらい、合計点を出した。選者は以下の通り(五十音順、敬称略)。

 ▽市川歩美(ショコラコーディネーター)▽糸田麻里子(フードエディター)▽君島佐和子(「料理通信」編集主幹)▽隈部美千代(お菓子教室「スイートリボン」主宰)▽鈴木兼介(東京製菓学校洋菓子課長補佐)▽瀬戸理恵子(フードエディター)▽長谷川純一(俺のフレンチTOKYO店長・シェフソムリエ)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽藤田靖弘(キーコーヒー・J.C.Q.A認定コーヒー鑑定士)▽猫井登(菓子歴史研究家)▽三谷ふき(富澤商店外販事業部部長)

[NIKKEIプラス1 2018年2月3日付]

 NIKKEIプラス1の「何でもランキング」は毎週日曜日に掲載します。これまでの記事は、こちらからご覧下さい。

 〈訂正〉2月4日5:40に公開した「バレンタインに こだわりのカカオ香るチョコ10選」の記事中、8位の「レ・カカオ」の価格が「864円」とあるのは「1100円」の誤りでした。本文は訂正済みです。

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