新潟の鶏半身揚げ カレー味のもも肉にかぶりつく
新潟市に「たれカツ丼」の取材に行ったことがあります。たれカツ丼というのは一口大(と言っても私には3口大)のトンカツをしょうゆだれにくぐらせ、それを何枚かご飯にのせたものです。
ネットでお店検索などということができなかった時代なので当てもなく街を歩き、食堂やトンカツ専門店を見つけては入るということを繰り返していました。そんな中で気づいたのは「鶏の半身揚げ」の看板を掲げる店の多さでした。
最初は「ふーん」と思っただけでしたが、何度も同じ文字を目にするにつれて「これは」と脳裏にランプがともったのです。
カツ丼で満杯になった胃袋を休ませ、老舗らしい店で鶏の半身揚げに挑戦しました。そのボリュームに即撃退されはしたものの、カレー味のもも肉を握り、口の回りを油で光らせながらワシワシ食べる地元の人々の幸せそうな表情は、きっちりと記憶に刻まれました。
新潟の半身揚げに対抗できるのは香川県丸亀市の骨付き鶏か、大分県佐伯市の半身揚げぐらいでしょうか。長野の山賊焼きも戦えるかも。
(食と旅のコラムニスト 野瀬泰申)
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