年の瀬・新年に人間関係を整える 感謝述べるチャンス
日ごろの感謝を伝えるうえで、年末年始は絶好のタイミング =PIXTA
年末年始の時期は忘年会・新年会やパーティーなど集まりが多くなります。その年最後の顔合わせには日ごろの感謝や相手への尊敬の念を込めて、気の利いたことを伝えたいもの。ちょっとしたボタンの掛け違いで仲たがいしている人や、疎遠になっている人、遠く離れて暮らす友人、知人などにも年をまたぐタイミングだからこそ、普段はなかなか伝えにくい思いを表現したくなります。節目を大切に考える日本人の感性には、そうした心遣いが染みわたるのです。
「今年はお世話になりました、来年もよろしくお願い致します」「良い年をお迎えください」というようなありきたりの言葉は誰もが口にします。無難ではありますが、そこに個性は感じられません。大切に思う相手には、ひと工夫した言葉を伝えましょう。そのメッセージに心を動かされた相手は、いい意味で自分は特別扱いされているのだと気づき、絆は強まります。お互いに気持ちよく、新年を迎えられます。
一年を振り返ることが多いこの時期、仕事仲間や友人、家族などに一番伝えたいひと言を選ぶとすれば「ありがとう」でしょう。親しいからこそ案外、「ありがとう」を言わないこともあります。感謝の気持ちはあるけれど、その都度「ありがとう」を言わないという人も見受けられます。
「ありがとう」は相手の心にストレートに響く言葉です。「ありがとう」と言われて、不快な気持ちになる人などいません。疲れ果てているときや、イライラしているときに「ありがとう」と声をかけてもらえると、誰しも心が和らぎ元気が出てくるものです。
そして、「ありがとう」と言われたら、自分も相手に「ありがとう」とお返しをしたくなるもの。だから、新しい年を迎え、気持ちが改まるタイミングで「ありがとう」に「プラスのひと言」を添えて送りましょう。
たとえば、同僚や仕事仲間には「いつもサポートしてくれて、ありがとう」「気弱な私を元気づけてくれて、ありがとう」「●●で落ち込んでいるとき、励ましてくれましたね、ありがとうございます」などの表現があり得ます。友人には「●●を教えてくれたことが忘れられない、ありがとう」「いつも愚痴を聞いてくれてありがとう」に「今度は私が聞き役になるから」と添えてもいいでしょう。
家族に伝えたい、感謝の思い
仕事に追われていると、家族への感謝の言葉も忘れがちになります。「毎日おいしい料理をつくってくれてありがとう」「いつもそばにいてくれてありがとう」「仕事にまい進できるのも君のおかげ、ありがとう」「短気でごめんなさい、いつも許してくれてありがとう」。家族にそんな言葉を贈るのにも、年末年始の時期は向いています。
特に何かしてもらった場合でなくても、「うれしい」「支えてもらっている」「教えていただいている」「助かった」などと感じたときは、素直な感謝をすぐに伝えるのが、人間関係を円満にする秘訣です。ふと相手への感謝の気持ちが湧いてくることがあります。
実際、私も「こんなわがままな私に付き合ってくれるのは●●さんしかいないなあ」「勝気な私を理解してくれるのは、●●だから」などといった気持ちになることがあります。そんな場合は唐突でも必ず「ありがとう」を伝えています。
疎遠、不仲の相手と関係をリセット
「突然こんなことを言ったらおかしいかな?」などとためらわないでください。言わなければ、感謝の気持ちは相手には伝わりません。年の瀬をいい意味の「口実」にして、感じたままを素直に言葉にして伝えてみましょう。仲たがいしている相手にも意地を張らずに「離れてあなたの存在の大きさを知りました、ありがとう」「あなたが大切な人だと改めて思いました、ありがとう」と伝えれば、お互いに気持ちがリセットされ、いい年を迎えられます。年末に機会を逸しても、まだ新年があります。1月上旬までは新年のごあいさつを理由付けに使えますから、人間関係を整えて気持ちのよいスタートを切りたいものです。
「臼井流最高の話し方」は、今回が最終回になります。長きにわたってご愛読いただき、まことにありがとうございました。またどこかでお会いできるのを心待ちにしております。
※「臼井流最高の話し方」は今回で終わります。