話を聞いてもらう3つのコツ 聞き手つかむ「端簡正」

身を乗り出して聞いてもらえるようなプレゼンテーションは話し方が肝心 =PIXTA
身を乗り出して聞いてもらえるようなプレゼンテーションは話し方が肝心 =PIXTA

「私の話を聞いてくれない」。こう嘆く人がいます。その一方で、誰もが耳を傾ける人もいます。この違いはどこにあるのでしょうか。

プレゼンテーションや会議の席で資料をしっかり用意して詳しく丁寧に説明したのに、反応はいま一つ。聞いてもらえない、理解してもらえなかったという経験はありませんか。当日に備え、イメージトレーニングやシミュレーションもしたのに、なぜ受け入れてもらえないのか。私自身、数多くの失敗を重ねて学んだのは、「こちらが伝えたいことを話すのではなく、相手が知りたいことを話す」ということです。

ビジネスシーンで提案や説明をする場合、「誰がどんなことを知りたいのか?」「求められているものは何か?」ということを踏まえ、その要素にフォーカスして的確に伝えるべきです。集めた情報を全部開陳するのは逆効果になりがち。「あれもこれも」では総花的に見えてしまい、伝わる力が落ちてしまいます。

理解しやすいように言葉を吟味して話す配慮も必要でしょう。ポイントは「センテンスを短くする」ということ。論理に矛盾が生じないようにと構えたり、説明不足を恐れようとする想いが先走ったりすると、センテンスが長い話をしがちになります。それは丁寧ではありますが、相手は「まだ話すのか?」「早く終わらないのか?」と、しびれをきらせてしまいます。

終わらない話に我慢できない相手が、質問を挟んでもすぐには答えず、自分の言いたいことを伝えてから答えるというようなことにでもなったら、あなたの提案や意見は評価を得にくくなりそうです。これまで自分の提案や意見が通らないと感じている人は、話の内容そのものよりも「伝え方」に問題があったのではないかと疑ってみてください。

話し方のコツは短く小気味よく

話に耳を傾けてもらうために求められるのは「端的に簡潔に正確に」という話し方です。この「端簡正」を意識すれば、相手からの質問にもスムーズに応えやすくなります。こちらが発言した段階で趣旨が整理されているので、質問の方向もずれにくくなるからです。質問と応答の小気味よいリズムが出て、意見交換も盛んになります。

逆に、避けるべきなのは反論も共感も全く示されない「無反応」の状態です。座を仕切る者が「●●さんの提案にご意見や質問はありませんか?」と促しても無言が続くことはしばしばあります。発言者が熱弁をふるっても、聞いている側は白けているというような、場面を私も数多く見てきました。そうなる原因の大半は「センテンスが長い話」にあると思われます。

耳を傾けてもらえる話し方には以下の3点が重要です。

(1)結論は「最初に短く」伝える

たとえば、冒頭に「これから提案する方法で、広告宣伝費が30%削減できるだけでなく、リピート客の獲得も容易になります」と述べたとしましょう。すると、聞いている人は「なぜ?」「本当だろうか?」と尋ねたくなります。それは魅力的な提案だけれども、理由や仕組みがはっきり示されていないからです。まず印象的なワンフレーズ的表現で聞き手の興味を引いて、詳しい説明は順を追って進めていきましょう。逆に、キャッチーな部分を後回しにすると、だらだらした物言いになりがちです。おいしいおかずは最初からテーブルに載せてしまいましょう。

(2)質問者に質問をする

内容によっては、相手に質問をしてみましょう。たとえば「君の提案にある●●は会社のイメージには合わないのではないか?」と質問があったとしたら、「〇〇さんがおっしゃる会社のイメージとは、どんなものですか? みんなでイメージを共有したいので、例を挙げてお示しいただけないでしょうか?」と質問します。質問の意図を探るような問いを返すことによって、質問者の立ち位置を照らし出すことができます。相手が口ごもりながら「斬新すぎる気がする」とか「世間が抱くうちのカラーってあるじゃないですか」といったぼんやりした答えを返してきたら、十分な根拠に基づかない「私見」が本人の言葉からあぶり出されます。

まっとうな根拠に基づく質問を引き出す効果もあります。「同様の提案は2015年にもあり、私の部署で実践したが、効果は見られなかった」という答えがあったのならば、その提案との違いを明確に示せばいいのです。議論が深まり、かえってこちらの提案に説得力が加わります。誠実な質問者を味方に巻き込むこともできそうです。質問者が示した疑いや懸念はほかの参加者も抱いている可能性があるので、早い段階で解消して、先へ進むうえで、「質問返し」は効果があります。

(3)大切なことは繰り返す

自分の提案や説明で特別に重要だと思うことは、繰り返し伝え相手に印象づけましょう。たとえば「この方法ですと、30%の広告宣伝費の削減になります。30%は結構な割合です」「2018年の目標は100人の獲得。10人ではなく、100にんです」といった具合です。数字や名称など、間違った認識を持たれてはいけないことはこのように念を押すといいでしょう。

基本的な心構えとして大切なのは、話すのはこちらであっても、常に聞き手の立場になることです。耳を傾けてもらいやすい話し方とは、「聞き手の心の声」に届く物言いなのです。これは表面的におべっかを使ったり、相手の顔色をうかがうという意味ではありません。むしろ、当人すら気付いていないような本当のニーズや大義を共有しようとする態度です。その軸がぶれなければ、相手の反応に一喜一憂する必要はなくなります。話し方に自信が備わり、説得力も高まるはずです。

次回は、クリスマス、忘年会、年末に伝えたい気の利いた一言です。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は12月27日の予定です。

臼井由妃
ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/
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