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「ななつ星」も一役、まちづくりに挑む  成功の陰に笑いあり(15) 九州旅客鉄道会長 唐池恒二氏

2017/12/8

大分でも新駅ビルを中心とした街の活性化に貢献(2014年、左から3人目が唐池氏)

 九州旅客鉄道(JR九州)の唐池恒二(からいけ・こうじ)会長の「仕事人秘録」。最終回となる第15回はまちづくりの夢について語ります。

――悲願の上場を果たし、さらなる目標を掲げる。

 週末に10キロや20キロを歩いていただく「JRウォーキング」という小さいイベントがありまして。500人から1000人が参加するのですが、まちづくりに貢献していると思いますね。造り酒屋を見学したりお茶を振る舞ってもらったり、地元と連携して趣向を凝らしまして。数時間でも1000人が滞在すると、街の活性化になりますから。

 鉄道という線から面へ。まちづくりの会社になることが次の夢です。まちづくりといっても我々が目指す形はいろいろ。農業もその一つ。

 車窓から見る荒れ果てた田畑は寂しいですよ。愕然(がくぜん)としましたね。九州は農業王国といいながら耕作放棄地や休耕田が多い。九州の食料自給率は日本全体より随分高いのですが、実情は荒れ果てて見た目にも悪い。観光にもマイナスですよ。原因は後継者不足ですね。

 九州各地にいるOBを含めた4万人程度のネットワークを活用すれば農家を助けられます。朝が早く毎日手を抜かない点で農業は鉄道と似ていて相性がいい。農家と一緒に荒れ果てた土地を耕すことで雇用を生み、美しい田園風景も取り戻せる。まさにまちづくりなんです。農業に力を入れるあまり、博多駅などに八百屋まで出店しました。

――豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」で地方創生。

 ななつ星では宮崎県都農町の生産者がおいしいトマトジュースを作ってくれるなど、提供する野菜は大半が九州産。一緒に紹介されると生産者は元気がでますよね。ななつ星を見るために九州に来る人も多くてね。九州ににぎわいを、地域の人に自信と誇りをもたらしてくれます。「ななつ星は地方創生のお手本だ」という話も聞きます。まちづくりの理想形の一つですね。

 熊本地震では災害に揺るがない強い会社を作りなさないと課題を突きつけられました。全員で乗り越えて新しい夢に向かって走り出します。

 運に恵まれてきましたが、失敗談も数知れず。苦しい時こそ笑いを求め、うれしい時こそ涙を流す。笑いと涙の人生劇場はいったんこれにて幕となります。=この項おわり

[日経産業新聞2016年5月9日付]

仕事人秘録セレクションは金曜更新です。

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