シニア呼び込むコンビニ? 客見てニーズ察する店長セブンイレブン 松山文子さん

セブンイレブン墨田5丁目店の松山文子さん
セブンイレブン墨田5丁目店の松山文子さん

東武スカイツリーラインの鐘ケ淵駅(東京・墨田)から徒歩1分の場所にある「セブンイレブン墨田5丁目店」。店舗の周辺が高齢者の単身世帯が多い地域ということもあり、日中の店内には手押し車を押す高齢者の姿が目立つ。

オーナーの松山文子さん(57)は「亡くなった両親にできなかった孝行を地域のおじいちゃん、おばあちゃんにしている気持ち」と笑う。

コンビニの店頭に並ぶ商品は平均2500~3000品目。新製品が中心になるメーカー品と定番のプライベートブランド(PB=自主企画)で陳列棚はほぼ埋まる。

しかし、日中に訪れる高齢者が求めるニーズは幅広い。例えば、洗剤もメーカーの定番品をそろえたり、まとめ買い用の大容量商品を用意したりと工夫が必要だ。「売り上げをつくることを先に考えてはいけない。何が求められているのか、をまず考えてから商品を選ばないと、見抜かれてしまう」。

少ない人数で切り盛りするコンビニでは通常、店員から来店客に声をかけるということはあまりない。しかし、墨田5丁目店では「何かお探しですか」「荷物をお預かりしておきましょうか」とオーナーの松山さんを筆頭に高齢者に積極的に言葉をかける。ときには世間話の聞き役に回り、付き添って買い物を手伝うこともある。こうした接客が高齢者のニーズをくみ取る格好の機会となっている。

墨田5丁目店の店内にいると、店員と目が合うことがほかのコンビニよりも多いと気づく。形だけのあいさつと感じるコンビニも多いなか、店員が来店客一人ひとりに目を向け、しっかりと声を出すあいさつは松山さんのこだわりだ。

「接客に慣れた人はちょっとした動きを簡略化してしまい、客に不愉快な思いをさせることがある」。だからこそ、松山さんは接客の経験がない人をあえて採用し、時間をかけて教育している。初体験の接客では緊張のあまり体が動かなくなるという人もいる。そんなときは松山さんがそばに立ち、「大丈夫」「笑って」と声をかける。

松山さんの店員教育は長年の経験で培われたものだ。もともとはカネボウ化粧品で社員の教育などを担当していた。退職後、イトーヨーカ堂の店舗レジで働くようになると、すぐさま人柄や丁寧な言葉遣いを見込まれてレジでの接客の研修担当に抜てきされた。

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