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ななつ星の申し込みにはコネやつてを一切認めなかった(2013年10月15日)

ななつ星の申し込みにはコネやつてを一切認めなかった(2013年10月15日)

九州旅客鉄道(JR九州)の唐池恒二(からいけ・こうじ)会長の「仕事人秘録」。第13回は「ななつ星 in 九州」のデビューについて語ります。

――世界の王(貞治)さんの申し出も断った。

コネやつては一切お断り――。スペインのレストラン「エル・ブジ」はマドンナのような著名人でさえも待たせます。そのこだわりが世界最高峰の地位を作りあげているのでは。心に留め置きました。

2012年10月1日、「ななつ星」の予約受付の初日。石原進会長が相談に来ました。「香港の超VIP(最重要人物)が乗りたいと言っている。何とかなるだろう」。「会長、残念ながら公正な抽選なんです」と答えると、「君、そんなこと言ったってできるでしょ」と食い下がられましたが譲りませんでした。

その2時間後、なんと次は王さんから「知り合いが乗りたい」との電話が! さすがに王さんは受けた方が良いのかなと思いまして。一晩寝ながら考えて、やっぱりお断りしました。これが良かった。東京の財界人からの申し出にも「世界の王さんでも断りました」と告げると、何も言えないですから。一人の例外も作らない。傲慢さがブランド価値を高めた気がしますね。

――人生も変える。

「ネットに写真を流すのだけはしないでくれ」。ななつ星を製造する車両所では携帯の持ち込みを禁止しました。私が見に行った時は平気で撮って恨まれたけどね。試験走行時も黒いシートをかぶせながら運転しましたよ。隠すと見たくなるのが心情ですから。運行1カ月前に初めて本物をお見せした時には期待感が最高潮に達していました。

ですが、そのころ裏側はまさに戦場。(デザイナーの)水戸岡(鋭治)さんは頑固で妥協しませんから5ミリでも設計からずれると怒るんです。家具や電気職人もこだわりがある。私でも近寄りがたかったですよ。運行2週間前の欧州メディア対象ツアーで完成したのは7割程度。責任を感じる水戸岡さんに「間に合わなかったらいいじゃないですか、腹をくくりましょう」と言うと、安心されて泣き始めまして。最も良い部屋は配電盤むき出しのままお見せしましたが、戦いの中で最高の列車ができあがりました。

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