【原因その1】
興味、関心、好奇心を持たない人は他人の話が聞けない。

20年以上前の話で恐縮だが、テレビ朝日に「プレステージ」という深夜番組があった。トレンド、ファッション、スポーツ、政治などそれぞれのカテゴリーをワンテーマで平日に3時間生放送でディスカッションするという、「朝まで生テレビ」の姉妹番組的存在だった。

私の担当した木曜深夜は「テロ・スパイ・民族紛争・は虫類・天変地異・心霊」など、要するに「ちょっと変わった分野」に特化したものだった。そしてその分野に関する私の興味・関心が最初からあったと言ったらウソになる。むしろまるで興味なんかなかった。

たとえば、ケネディ米大統領暗殺機密文書(今、また話題)、スペイン国内の独立運動とテロ(こちらも話題)、世界の蛇大集合など、私の人生において直接的には何ら関係のない話題。予算の都合もあり、テレビなのに、映像素材はほぼゼロ。専門家、研究者との生討論だけで3時間盛り上げるという、ちょっと信じがたい構成だった。

梶原「私、何を話せばいいわけ?」

テレビ局担当者「梶さんが上手に専門家の話を聞き出さないと番組はつぶれる。責任、取れる?」

よく分からない脅し口調を追いかけるようにして、分厚い参考文献が毎週、段ボールで我が家に送り付けられた。まじめだけが取り柄の私はひたすら読み込んだ。読書量が増えるにつれ、面白さがついてきた。面白くなってくると、もっと知りたくなる。

毎週、一番知りたくなったタイミングで、オタクな研究者のトークバトルに参加。生放送の「聞き役」としては、それなりの任務が果たせたかもしれない。「聞けないバカな私」は「にわかづくりの興味、関心、好奇心」で救われた。

知ったかぶりや自己主張は相手から話を引き出しにくくする PIXTA
【原因その2】
知らないことが恥ずかしいと自己開示をためらう人は他人の話が聞けない

こんなことを聞いたら、そんなことも知らないバカだと思われる。差し障りのない「世間相場的」コメントで「そこそこの自分」を見せてごまかしておこうといった態度では、「聞ける人」にはなれそうにない。「バカにされたくない」なんてゆるいことを言っているうちは人の話は聞けないものだ。むしろ「自分は無知だ、アホだ、だからこそ知りたい」ぐらいに、好奇心をあらわにして知りたい気持ちに素直になることも「聞ける人」への道ではないか。