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臼井流最高の話し方

話の脱線防ぐ「仕切りフレーズ」 議論をかじ取り

2017/11/8

会議をうまく動かすには、空気を変えるキーフレーズを上手に使おう PIXTA

 会議や打ち合わせで議論が白熱するのは建設的に仕事をしようとする気持ちの表れですから、本来は好ましいことです。ただ、しばしば気持ちが高ぶるあまり、議題の趣旨から外れたり、発言者への批判に走ったりしがちです。収拾がつかなくなるだけでなく、時間を空費してしまうのももったいない話です。

 こういうシチュエーションは、誰かがその場の空気を変えなければ、時間が無駄になるだけでなく、気まずい雰囲気を引きずり、仕事に悪影響を及ぼしかねません。そこで役に立つのが、その場を仕切る「キーフレーズ」です。

 要領を得ない発言をダラダラ続ける人がいる場合には、自分が進行役ならば「ご発言中ですが、要約させていただくと……」という言葉で発言者にやんわりと長話に気づかせるといいでしょう。キーフレーズの使い方は、この例のように、話の流れに割って入り、方向を変えるのが効果的です。進行役でない場合には「ご発言中、恐れ入りますが、●●という意味でよろしいのですよね」と、趣旨はくみ取っているという姿勢を見せながら長話に気づかせる手もあります。

 こういう場面では同席者も「早く話が終わってくれないか」とか、「誰か止めてほしい」と思っているものです。しかし、自分から口火を切るのはためらわれるので、イライラを募らせながら我慢している格好です。そんな状況でこういう流れを変えるフレーズが出ると、多くの人がホッとし、「仕切り上手」に見える発言者の評価も高まります。

 発言が長くなると、何を言うべきなのかが分からなくなってしまった「迷走者」が現れやすくなります。意見のほかにエピソード、世間話、自慢など、様々な要素が混在する長話を聞かされる側はたまったものではありません。時間の無駄遣いに加え、ストレスまで押しつけられてしまいます。

 進行役の立場であれば、「いろいろとうかがいましたが、ここらでもう一度、本題に戻ってみましょう」といった感じで、話し手を立てつつ、発言権を奪い、流れを引き戻す方法があります。まだ話を続けさせるのであれば、「恐れ入りますが、●●に絞ってお話いただけますでしょうか」と注文を付けてもいいでしょう。●●の部分には議論に関するキーワードを入れます。進行役でない場合には「恐れ入りますが、●●についておうかがいしたいのですが……」と、穏やかな物言いで相手に軌道修正を促すのがよさそうです。「恐れ入りますが」という「クッション言葉」を添えることによって、相手を傷つけることなく、スムーズに割って入ることができます。

■長すぎる雑談を切り上げる

 会話の本題に入る前の呼び水として雑談は大切です。「いつもお世話になっております。さて新製品のご紹介をさせていただきます」というような、あいさつもそこそこにすぐ本題に入る態度も悪くはありませんが、いささか味気ない感じがあります。「ずいぶんとビジネスライクな人だ」と受け取る人もいるでしょう。

 そうはいっても、あいさつのあとに雑談が延々と続くのも困ります。そういう「雑談過剰」の人には「興味深いお話ですが、そろそろ本題をお聞かせくださいませんか?」「そのお話は、また別の機会におうかがいするということで……」といった言葉を挟むことによって、本題を引き出すようにしましょう。こう言えば、たいていの場合、相手は自分の脱線に気づくものです。長い話をとがめるような言い方ではなく、あくまでも朗らかに切り出すのがコツです。

 相手の気持ちになってものを言える人は場の雰囲気を和ませることにもたけています。肝心な点は人を立てるという姿勢です。こちらの意見を押しつけたり、笑えない冗談を口にしたりといった態度は相手への気配りに欠けています。「教えてください」「そこのあたりをもっとお聞かせ願えませんか」といった、相手から教わるという態度を示せば、向こうも進んで話したくなるものです。

 物知りの人によくあるのですが、自分が知っている話題が出ると「そんな話は知っている」と話の腰を折ったり、相手の発言に誤りを見付けて「それは間違っている。正しくは●●だ」と訂正したりする人がいます。契約内容を左右するほどの重大なミスなら、その場で確認しておいてもよいのでしょうが、こんな態度を繰り返していたら、煙たがられる存在となりかねません。

 場の雰囲気を和ませないと、本題の話が進みにくくなってしまいます。緊張した状態が続くと、議論を進めるのに役立つ思い切った提案をしにくくなってしまうからです。場の雰囲気を和ませるというのは、会議や商談を効率的に進めるうえでの極意とも言えるでしょう。

■気まずい雰囲気を変える

 では、どうすれば場の空気がやわらかくなるのでしょう。ムードチェンジに役立つのは、相手に水を向けるキーフレーズです。たとえば、相手が会話に入れず、困った様子ならば「○○さんは、どう思いますか?」「〇〇さんの意見を聞きたいなあ」といった具合に相手をソフトに巻き込んでいきましょう。

 長い沈黙が流れたり、会話が行き詰まったりしたら、「私はこう思うのですが、〇〇さんはどうお感じになりますか?」「この件に詳しい〇〇さん、お教えいただけないでしょうか?」などと切り出せば、相手は会話に入りやすくなり、よどんだ空気が動き出します。異なる視点が加わる点でも議論に有益です。

 逆に、NGの物言いもあります。しらけたムードが流れていると、無理に盛り上げようと、「どうしちゃったの? お葬式みたいだね」とか、「じゃあ、ちょっとすごい話をしちゃおうかな。聞きたい?」などと、おどけた調子で言い出す人がいます。雰囲気を変えたいという意欲は買いますが、これらはあまり有効ではありません。

 特に注意したいのは、気まずい雰囲気が流れる場で、自分の知識を持ち出すことです。年長者の多い場ならば、なおさらです。むしろ、相手を立てる会話を意識して、「俺が俺が」と身を乗り出すような態度は差し控えるべきでしょう。

 誰かがしゃべりすぎると見えたら、「ここでいっぺん整理してみませんか」「要するに」「結局のところ」「かいつまんで言えば」などのまとめ系キーフレーズを使って、その人の独走を抑えてしまいましょう。要約する形でいったん引き取って、本来の望ましい道筋に議論をセットし直すと、「仕切りのうまい人」という印象を与えることができて、その後の議論をリードしやすくなります。

 たとえ自分が知っていることであっても、「○○さんはどう思いますか?」と振って、別の人の口から答えを引き出すような姿勢で臨むのが、人間関係を円満にし、場の雰囲気を和ませる会話になります。特定の誰かに話し手を集中させないで、参加者のあちこちから声が上がるような立体的な運びを心がけることも、やわらかいムードを保つうえで役に立ちます。

 次回は、会話が滑ってしまったときのリカバリーについてお話しします。お楽しみに!

「臼井流最高の話し方」は水曜更新です。次回は11月15日の予定です。

臼井由妃
 ビジネス作家、エッセイスト、講演家、経営者。熱海市観光宣伝大使としても活動中。著作は60冊を超える。最新刊は「今日からできる最高の話し方」(PHP文庫) 公式サイト http://www.usuiyuki.com/

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