――『逃げ恥』がなくても市場の潜在需要は大きいですしね。

「そうですね。ただ他社との掃除の仕上がりの差はなくなると思います。そうなるとポイントはスタッフの信用度です。家族や親族でもない人を家の中に入れ、見られてしまうのですから。安さで他社を利用されても、いずれ当社に戻ってきます。継続的な教育がダスキンの強みです」

「所得に余裕のある方は掃除の間、鍵を預けて映画など趣味の時間に充てます。時間を買う感覚なのでしょう」

――レンタルサービスの場合、訪問されることが顧客のストレスになります。

「かつては説明商品と呼んでいました。都市部では会わないことが最高のサービスと思うお客様がいます。3年前に郵便ポストでの返却、カード決済も始めました。創業者は『道と経済の合一』を唱えました。道とは時代が変わっても変えてはいけない商人としての道ですが、経済は世の中の変化に合わせてどんどん変えていかなければいけません。その意味ではミスドとレンタル部門は成功体験から抜けきれなかった反省があります」

(聞き手は中村直文)

山村輝治
1957年大阪体育大卒。82年ダスキン入社。04年取締役クリーンサービス事業本部副本部長などを経て09年から現職。子供は3人。休日にはジョギングを楽しむ。大阪府出身。60歳。
フード事業反転攻勢へ
ダスキンの2017年3月期の売上高は前の期比2%減の1618億円。家事代行などのクリーン・ケア事業は堅調だったが、ミスタードーナツなどフード事業が不採算店閉鎖などで9%減ったことが響いた。営業利益は13%増の60億円だった。
今期はフード事業の反転攻勢へ、ミスドの持ち帰り専門店「to go」の出店を強化。ドーナツは近隣の店舗で揚げるため、フライヤーが不要になり、駅ビルや商業施設への展開がしやすくなる。人件費なども抑えられ、収益改善にもつながる。中期的に200店体制を目指す。(出口広元)

[日経MJ2017年5月29日付]

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