大阪の「肉吸い」って何 昆布だし愛を極めたこの一品
「知る食うロード~発見!食の景観~」は、全国各地の食材や料理を探索し、秘められた物語や歴史を丸ごと「景観」として発見する番組です。これまでの旅、グルメ番組とは一味違った視点で日本を巡ります。BSジャパンで、毎週土曜日夕方6時から放映中。
かつて大阪に赴任していたとき「大阪の食い倒れ」の本質は昆布だしのうま味のことではないかと思いました。というのも借りていた部屋の大家さんが昆布問屋のご主人で、私と同年だったこともあり親しく昆布の話を聞く機会があったからです。
会社に行けば地元出身のアシスタント女性が「あの店のお好み焼きはだしがきいとっておいしい」とか「うっとこの近所のたこ焼き、だしがばんばん迫ってくる」とか話しているのが耳に入ります。関西以外でお好み焼きやたこ焼きと出しのうまみを結びつけることはないでしょう。
そして「だし巻き卵」。食べてみればわかりますが、卵はだしのおいしさをとじ込める入れ物であって、卵のおいしさ以上にだしがきいているかどうかが問われます。
関西人が昆布だしをいかに愛しているか。その究極の形が「肉吸い」です。肉うどんからうどんをどけたもの。つまり最後はだし汁さえあればいいというのです。ネーミングにやや危険なにおいが漂う「肉吸い」ですが、これこそ関西人の味覚を知る格好の食べ物でしょう。
(食と旅のコラムニスト 野瀬泰申)
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