富士そば、立ち食い一筋50年 ダメな立地は「秒殺」ダイタングループの丹道夫会長

――では閉鎖店舗はあまりないのですか。

「ありますよ。どうしても理解できない物件があるんですよ。東京・新橋駅前で機関車側の1つ裏通りの角に出しましたがダメだった。いまだに理由が分からない。東京・大岡山も失敗でしたね。ちょっと外れにあったけど競合はなく、いけると思ったのですが。やはり妥協したらいかんね」

――味は変えていますか。

アジアにも「富士そば」を出店して成長を加速させる(台湾の店舗)

「1985年ぐらいかな。使用していたかつお節の量を2倍にして。原料価格は上がるけど、値段は据え置きで。常連客はものすごくおいしくなったと驚いたけどね。技術より金というか。社会の文化度が上がると、味覚力も上がりますから」

「3年前にはしょうゆを変えたんですよ。小豆島でアイスクリームにしょうゆをかけて食べるのを見て、これは本物だと。そこで全部変えちゃった。最近は調理法も変えました。これまではしょうゆとかつお節を煮るのは夜中の仕事で、従業員によってばらつきが出る。悩んでいたら大阪のメーカーが煮る機械を売り込んできました。煮詰まりはないし、作業環境も改善。1台150万円で1億5千万円を一気に投資したら、味が安定しましたね」

新商品開発は各店にお任せ

――富士そばは商品開発部がなく、お店に任せているそうですね。

「自由です。お客の顔をいつも見ており、何を食べたいのか分かっているから。提案が採用されたら金一封、大ヒットしたら10万円です。これまでではカツ丼ですかね。1日に1万杯出たことがあります。今はピリ辛ネギそば。大好きなんだけど若い人は嫌みたい」

――会長は提案しないのですか。

「そば屋には野菜がないでしょ。何とか野菜を売りたくて、100円のゆで野菜のセットを売るように言いました。ふたを開けてみると売れる店と売れない店に分かれて、今はほとんどない。理由を聞いたら『会長、全然売れないんですわ』と言われて(笑)。やはり健康より味なんだね」

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