男性学から読み解く女性活躍 真の改革、男女セットで大正大学心理社会学部人間科学科准教授 田中俊之さん

出産して辞める人が減り、育児休業を取って復帰する人が増えてきた

それが10~14年になると、急に変わりました。出産して辞める人が約10%減り、代わりに育児休業を取って復帰する人が約10%増えました。最近の「女性活躍推進」の流れにより、今後はさらに育休復帰は加速すると予想できます。企業やその管理職は「女性は育休取得後も働く」と認識を改め、いかに対応していくかが求められています。

いまだ根強い性別役割分業 当事者意識で本音の議論を

――昨今の「女性活躍推進」のムーブメントをどう思いますか。

私の認識では、日本はいまだ性別役割分業の社会です。「男は仕事、女は家庭」という意識と構造が残っており、賃金格差があるので深刻です。男性の賃金を100とした場合、女性は70。それなら賃金が高いほう、つまり男性が仕事をメインにするという行動パターンにつながります。

女性の就業率が上がった今でも、女性は無意識のうちに「家事・育児があなたのメインの仕事」という社会のメッセージを受け取っています。しかし女性活躍推進で女性に期待されているのは、「キャリアを積み、仕事で成果を上げること」。一方で男性側へは、理想のイクメン像として語られるのは、「仕事だけでなく育児にも積極的にコミットすること」。しかしその前提として「一家の大黒柱はやめない」ことを求められている。男性も仕事と家庭の両立で、板挟み状態です。

いまこそ、イメージ先行の建前の議論ではなく、すべての人が当事者意識を持って本音で議論すべきです。

社会の仕組み変える改革 多様な働き方を想定して

――今後、男女それぞれの仕事、生き方はどのように変化していくべきでしょうか。

私には1歳7カ月の子どもがいます。妻の産褥(さんじょく)期には約2カ月の育休を取りました。主に妻のケアと家事を担いましたが、産後の女性が育児も家事もやるのは相当な負担だと身をもって実感しました。今でも毎日午後6時に帰って家事・育児をやっていますが、実は子どもが生まれてから、本を1冊も出版していません。まじめに育児をしたら、本を書く時間がとれなくなりました。本を出していた時期よりも収入が減りましたが、この時期、仕事の成果が落ちるのは当然で、仕方のないことだと思います。

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