ロールス・ロイスで月2億円 聞き役に徹し「友達」にコーンズ・モータース 尾崎一隆さん

尾崎さんは居心地の良いセールスを心がける(東京都港区のロールス・ロイス・モーター・カーズ東京)
尾崎さんは居心地の良いセールスを心がける(東京都港区のロールス・ロイス・モーター・カーズ東京)

月に2億円を売る車のセールスマンがいる。高級輸入車販売のコーンズ・モータース(東京・港)で英ロールス・ロイスを担当する尾崎一隆さん(43)。中心価格は4000万円、上は7000万円台。顧客の多くを占める会社経営者とは「軽くいじれるくらい」の関係を心がける。

「尾崎~。久しぶり」「えっ。まだこんなクルマで満足してるんですか?」――。ロールス・ロイスの顧客層は会社経営者や医療法人の会長など、『超』が付くほどの富裕層だが、顧客と尾崎さんの関係は、さながら友達同士のようだ。

基本的に尾崎さんのほうから商品の説明はせず、聞かれた時だけ答える。7~8割の顧客が現金一括払いで購入し、すでに何台も車を所有しているケースが多く、「車を売り込んで、車を買う人たちではない」。

値引きトークも「論外」で、4000万円の車が50万円安くなったところで効果は見込めない。「小手先の営業テクニックでなく、お客さんの内面に入り込んでいく」

内面に入り込むためには居心地の良さを提供すること。超富裕層は自分の話を聞いてもらいたい人が多く、「いかに気持ちよく話してもらうかが大切」。話題は仕事や家族、持っている車、かつて乗っていた車などさまざま。話した内容は顧客データに入力し、次回以降の話題につなげる。

聞き役に徹しながら大げさにならないよう相づちを打つ。「すごいですね。かっこよすぎます」などの営業トークはご法度だ。話題についていけない時は、素直に「知らなかったです。教えて下さい」と伝える。

「会社や組織で多くの人を見ているからか、つくったような態度はすぐに見抜かれてしまう」。時間をかけて徐々に距離を縮めていき、友人に近い関係性を築く。

上得意客を増やすうえで、富裕層同士のつながりも大切にしている。ロールス・ロイスの販売を始めてから2年で顧客を10倍に増やした。現在担当する約500人の顧客のうち、半分以上が既存客からの紹介だ。

超富裕層は時計や宝飾品の世界でもVIPのことが多い。発売前の内覧会やパーティーには同じようなメンバーが招待されるため、独自のコミュニティーが存在するという。そのなかで「ロールスの尾崎はいい」と話題になれば、芋づる式に顧客が増えていく。

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