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桜井さんは売り上げデータなどを駆使し、売り場の「戦略」を練り上げる

桜井さんは売り上げデータなどを駆使し、売り場の「戦略」を練り上げる

売り場づくりに携わるのは小売店の従業員だけではない。日々、小売店を巡回するメーカーの営業職にとっては売り場に自社の商品が並ぶかどうかは死活問題。自社商品の販売促進に向けて、店頭販促(POP)の掲示や商品の陳列など売り場づくりに汗をかく。

「ラウンダー」と呼ばれることの多いこうした営業職を支える存在として、アース製薬には販促支援に特化した契約社員「エマール」がいる。

販促ツールなど売り場に売るための「戦術」を仕込む役割を担うのがラウンダーとすれば、エマールはどの商品をいつ、どこで、どう売るのかという「戦略」についても小売店に示す。店舗向け販促部門のエマール15人を統括する桜井亜湖さん(46)は「メーカーのエゴにならないように売れる売り場をつくる」ことをモットーにする。

店頭での商品の売れ行き、担当するほかの店舗の動向などをきめ細かく分析。過去の実績に照らし、販売戦略を練り上げて小売店に提案する桜井さん。得意技は通常の需要期と少しタイミングをずらし、「季節外れ」の商品を売ることだ。

「早めに虫よけ」「大売り出し」。寒さが厳しい2月のある日、千葉県内のあるホームセンターの入り口正面にアース製薬の虫よけを集めた売り場が登場した。主役の虫よけネット「バポナ」は通常、3月から4月にかけて売り場に出回り、売れ行きは梅雨入り前の5月中旬がピーク。普通に考えれば、「早すぎる」売り場展開だった。

ただ、この商品は単価が1000円前後と高いうえ、効き目が1年近く持続する。ほかの店舗で買われてしまえば、もはや需要がなくなる。「通年で1個ずつしか売れない商品です。それならどの店よりも早く、一番最初に売りましょう」と店舗側を説き伏せた。

確保した売り場は入り口正面の「一等地」。POPでは来店客に早めの対策を促した。その戦略は見事に的中し、約70店のチェーン全店中20番台が定位置だったこの店舗でのバポナの売り上げが2~3月は全国トップに躍り出た。

「小売店での仮説から検証までがエマールの仕事」という桜井さん。2016年10月には同じここの店舗で低迷していた入浴剤の販売をてこ入れしたこともある。

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