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味噌は「戦法の要」 戦国武将、おみおつけで勝つ!

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NIKKEI STYLE

あなたの家で味噌汁戦争が勃発したことはないだろうか? 夫と妻の出身地が違う場合、しばしば起こるこの戦い。「な…なめこの味噌汁っていったら、赤だしに決まってるじゃないか!」「え? うちは小さい時からずっと麦味噌だったけど?」。こんな具合の。

歴史を遡ると、かの織田信長も同じ感覚を味わっていたという。

尾張出身で豆味噌に親しんでいた信長は、はじめて上洛し足利将軍家の料理を食べた際に、大激怒。「料理人を手打ちにする」とまで言い出したとか。

この怒りの正体は、将軍家の料理が京都の白味噌を使っていたため、口にあわなかったが故のもの。その証拠に味噌を変えた料理を出したら機嫌が直ったのだとか。

味噌ほどご当地性が如実に出る食べ物もないだろう。米味噌なのか、麦味噌なのか、豆味噌なのか。あるいは赤味噌なのか、白味噌なのか、淡色味噌なのか。甘口なのか、辛口なのか。

ひとくちに味噌といっても、その人が慣れ親しんだ味噌の味は、千差万別なのである。だからこそ、出された料理の味噌が、思い描いた味と違った時のガッカリ感はひとしおだ。

味噌汁だけでなく、漬物にも炒め物にも隠し味にも。いろいろな料理に使われ、日本人の食卓に欠かせない味噌は、いつごろから食べられているのだろうか。

味噌の発祥についてはいくつかの説がある。

一説には日本に味噌造りが伝えられたのは、飛鳥時代(6世紀末)、朝鮮半島から豆味噌の製法が伝来したのが最初だという。これが醤(ひしお)、未醤(みしょう)などと呼ばれた。

いやいや、もっと前から日本には味噌があったという説は、なんと縄文時代にまでさかのぼる。縄文時代の主食であったドングリを使った、ドングリ味噌ともいうべき食品があったというのだ。味噌は大陸から伝来したのではなく、日本の風土の中で生まれたのでは?という説だ。

「味噌」という文字があてられるようになったのは平安時代初期のこと。平安時代後期には、米麹を使った米味噌が作られ始めた。米がとれにくい地域では米ではなく麦を使った麦みそが生まれた。

現代では庶民的な味噌だが、当時はまだ高級品。上流階級の人々しか食べることができず、食べ方もそのままなめておかずにするような形だった。『延喜式』には平安時代の高級官僚に給料としてもち米やみそが支給されたことが記される。

鎌倉時代になると、禅僧の覚心が中国から径山寺味噌の作り方を持ち帰り、和歌山の湯浅に伝わった。径山寺味噌とは、大豆と麦をあわせて作った麹に、ナスやキュウリを混ぜて発酵させた「なめ味噌」のこと。

さらに覚心は味噌作りの途中で桶の底にたまった汁がおいしいことを発見し、これがしょうゆのルーツになったとされる。

味噌汁が生まれたのも同じ鎌倉時代だ。鎌倉時代の禅寺で、中国からやってきた僧がすり鉢を使っていたことを真似て、禅僧らが粒味噌をすり鉢ですってみた。すりつぶした「漉し味噌」は水に溶けやすかったことから、味噌汁が作られるようになった。室町時代になると、庶民の食卓にも味噌汁が登場する。

戦国時代になると、戦国武将たちが味噌に目を付けた。

戦いに出る武士たちの食料は勝敗にもかかわる一大事。大豆から作られる味噌は高たんぱくで栄養価が高いので、兵糧食にはもってこいだ。しかし持ち運びに適さない味噌をどうやって持ち運ぶか。

工夫の末に編み出されたのが、干大根や芋がらを味噌で煮つけたもの。これを編んで腰につけて携帯し、陣中で切って湯に入れれば味噌汁が出来上がる。現代でいうインスタント味噌汁の元祖は、戦国の世に武士たちの創意工夫によって誕生したものだったのだ。

戦国武将たちは兵糧食として味噌を重要視し、味噌作りに力を入れた。

奥州の伊達政宗は軍用の味噌を自給するために、仙台城下に味噌醸造所である御塩噌蔵を設けた。これが日本ではじめての味噌工場であるといわれる。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際には、他藩の味噌は腐敗したが、仙台藩の味噌は変質せずに味もよいままだったという。

武田信玄は信濃遠征の際、街道筋の農民に大豆を作らせ、味噌作りを奨励し、作らせた味噌を買い取りながら進行した。名だたる戦国武将は味噌の力を知っていたということだろう。

味噌は原料から見ると、米味噌、麦味噌、豆味噌の3種類にわけられる。複数を混合したものは調合味噌と呼ばれる。米味噌は大豆と米麹で作られた味噌。日本で生産される味噌の大半は米味噌である。麦味噌は大豆と麦麹で作られた味噌であり、主に中国・四国・九州で生産され、田舎味噌とも呼ばれる。豆味噌は大豆のみで作られる味噌。主に東海地方で生産される。

さらに日本各地で土地の風土によって製法や味にも違いがある。

伊達政宗が御塩噌蔵で作らせたのが起源の仙台味噌は、天然醸造なら10カ月以上熟成させた赤味噌で、香りがよく、うま味も強い。

京都の白味噌は白味がかったクリーム色の味噌。短期熟成で作られ、米麹の歩合が高く、甘みが強い。

豆味噌の代表格である八丁味噌は、蒸した大豆を球状にした味噌玉に種麹と香煎を加える独特の製法で作られる。ちなみに八丁味噌とは、岡崎城から西へ八丁(約870メートル)の距離にあった八丁村(現岡崎市八帖町)で作られていたことからこの名がついた。濃厚なうまみと、独特の香ばしさがある。

薩摩味噌や長崎味噌など九州の麦味噌は、淡色または赤色で、熟成期間が比較的短めの甘口だ。同じ麦味噌でも関東の麦味噌は麹が少なく、熟成期間が長く、辛口である。ふるさとの味噌の味に誰もがソウルをゆさぶられるのは、これほどに味噌の味が多様だからだろう。

秋を迎え、少しずつ涼しさが寒さに変わる季節。そろそろ体をあたためてくれる味噌料理の出番だ。朝の味噌汁、コクのある味噌ラーメン……あなたが思い描く味噌はどんな味だろうか?

ゆずれない味噌の味を求め、いざ味噌料理を味わおう。

(日本の旅ライター 吉野りり花)

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